ジョゼップ・グアルディオラが描くフットボールの未来

以前私は【システムを超えた「考える」バルセロナの世界】というコラムにおいて、ジョゼップ・グアルディオラがバルセロナに植え付けたものは、「選手が自ら考えて判断することだ」と推察したことがある。この推察は、興味深いことにこの練習方法と重なってくる。

ジョゼップ・グアルディオラは選手に練習面でも自由を与え、仕切ることも彼らに任せることによって「選手主導で試合を作ること」を可能にしようとしている。特に戦術的な判断力に優れた選手―バルセロナで言えばシャビやイニエスタ、バイエルンで言えばフィリップ・ラームやシュバインシュタイガーといった中心的な選手によって「有機的に」試合を動かしていくことを実現しようとしているのだろう。特にフィリップ・ラームに対するグアルディオラの信頼は多くのコメントからも理解することが出来る。

「ラームは私がストライカーでプレーさせると決めれば、ヨーロッパ1のストライカーになる選手だ」

「中盤でラームを使っているのは、彼の戦術理解力が他を圧倒しているからだ。彼の適正ポジションは勿論サイドバックだ」

この2つのコメントだけでも、グアルディオラがフィリップ・ラームを「自らの戦術を体現しつつ、より状況に合わせて指示を出せるピッチ内での指揮官」として育て上げようとしていることが良く解る。新時代のフットボールにおいてジョゼップ・グアルディオラが目指しているものは「監督からの指示を実現もの」ではなく、「監督からの指示を解釈し、ピッチ上で状況に合わせて柔軟にそれを選手たちが体現するもの」なのだ。

この「練習において自由を与えること」は指導者にとっても面白いトピックになるだろう。ある意味では選手たちの自主性を伸ばし、彼らのモチベーションを上手く高めていける可能性もある。もし、ドイツで圧倒的な快進撃を続ける彼らがCL連覇を成し遂げれば、更にこういった練習法にも注目が集まるだろう。

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