引退後は「自分にしかできないことをすごくやりたい」
現役引退後、遠藤さんは幅広くさまざまな活動に取り組んでいる。自身が小学生時代にプレーした仙台市のサッカークラブチームである『なかのFC』の代表を務め、宮城県内の育成の基準を引き上げようと日夜努力を重ねている。
また今季から家電製品や生活用品を製造、販売するアイリスオーヤマ株式会社の傘下チームである宮城県1部(J7相当)IRIS.F.Cのコーチ、スカウトに就任した。
これまで所属してきた鹿島や仙台に戻らず、新たな挑戦を選んだ遠藤さんに理由を聞いた。
「これっていうのがないんですよね。自分の力でいろいろやってみたい。わがまま(笑)。IRIS.F.Cも自分でなかったら来なかった話だし、チームも立ち上げ段階なのでコーチをしながらやっています。
サッカー界でいうと、トップの世界しか見ていなかった。J1、J2のところしか見ていなかったから、もっと下のところを見てみたかったので、大学サッカーを見に行ったりしていますね。高校はまだ見ていないですけど、大学はちょっと見てみたいなというのはすごくあった。IRIS.F.Cの活動を通しながら、いろんな大学に練習を見に行っているところではありますね。そこでもっと自分のサッカー観など、確固たるものを持ちたいなと思っています」
サッカークラブ経営者、コーチ、スカウト、解説者など幅広く活動する遠藤さんは、海を越えた先でも活動している。今年9月にはタイ3部東光カスタムズ・ユナイテッドFCのフットボールアドバイザーに就任した。
「そこのオーナーが新井場(徹)さんなので、それが経緯ですね。あと自分の経験値としてすごくいいかなというのもあって、日本だけ見ているとダメだろうなという思いもある。(監督の)田中達也くんと連絡をちょいちょい取りながらやってます。今年の年始に(タイへ)行ってるんですよね。
タイはすごく魅力的だし、面白いリーグだからこそ、自分でやれることであればというか。ずっとタイに行くわけじゃなく、年何回かタイに行っていろいろ話したりとかするぐらいですけど。少しでも自分にできることがあればという感じですね」
さまざまな活動に取り組む遠藤さんにキャリアビジョンを尋ねた。
「いま僕は仲間集めをしていて、ワンピースの仲間集めみたいな(笑)。東北人魂、なかのFC、IRIS.F.Cに共感してくれる人がどんどん増えていったら、僕はいいもの作れるんじゃないかなと思っています。ただそれが何かは正直分からないです。なので、そういう人たちと何かの目標に向かって頑張りたいなというのはありますね。
ゴールを決めたい(笑)。 Jリーグにいたときは、明確な目標があるじゃないですか。いまは正直それがない。ただ、なかのFC、IRIS.F.Cの目標はしっかりあるので、そこに向かって頑張ってやりますけど、自分がやっていることをひっくるめて、何をやっているかって言われたら、正直分からない。そのゴールを見つけたいというのと、あとは自分にしかできないことをすごくやりたいと思っています」
【インタビュー】遠藤康さんが鹿島で過ごした15シーズン「鹿島のみんなでクラブワールドカップへ行けたことは誇りですね」
インタビューに応じた遠藤さんは、時折少年のような笑顔を浮かべながら夢を語った。これまでその左足で描いてきた芸術的なプレーと同じように、多くの人たちをさまざまな活動を通じて沸かせてほしい。