今年4月27日、日本生産・調教の競走馬タスティエーラ(美浦・堀宣行きゅう舎)が香港で開催されたGⅠレース(競馬における最高格付け)、クイーンエリザベス2世カップを優勝し、日本国内では大きな注目を集めた。
地理的に近いこともあり、日本競馬とも交流が多い香港競馬。香港で実施されたGⅠレースの馬券を購入した経験がある日本の競馬ファンも決して少なくはないだろう。
「競馬」と「サッカー」、かつて香港を統治していたイギリスで盛んであったという共通点を持つこの二競技は、香港において強いつながりがある。香港におけるサッカー協会である香港足球會の本部及び、隣接する香港FCのホームスタジアム「香港足球會球場」は香港第二の競馬場であるハッピーバレー競馬場内に所在する。
また、香港競馬を主催する香港政府公認の団体「香港ジョッキークラブ(以下HKJC)」がサッカーくじも発売していることは、意外と知られていない。
発売対象となる試合は多岐にわたり、プレミアリーグをはじめとした欧州トップクラスの大会だけでなく、J1リーグやJ2リーグといった日本の試合も含まれている。
本記事では、香港競馬の祭典「香港チャンピオンズデー」を観戦するため渡中した筆者が、香港の「サッカーくじ」を実際に購入した体験記を記していく。
香港における「サッカーくじ」
日本と並び、東アジアでも有数の競馬大国である香港。その主催団体でもあるHKJCにとって、サッカーくじは馬券販売と並ぶ重要な収益源だ。香港には、日本のWINS(JRA日本中央競馬会が設置する場外馬券場)にあたる場外馬券販売施設が都市内の各所に設置されており、施設内ではサッカー中継が大々的に行われている様子を見かける。
雰囲気、客層は日本の公営競技場と似通っており、くじを握りしめた“おっちゃん”たちが真剣な目でサッカーを観戦している。
くじの発売方式は欧米のブックメーカーと似通ったものであり、単なる試合のスコアにとどまらず、「ハーフタイムまでのスコア」「得点数が奇数か偶数か」「コーナーキックの回数」といった多種多様な方式に賭けて楽しめる。
試合開始後にもくじを購入できることも特徴であり、「後半30分に2点リードされているクラブの逆転勝ちに賭ける」といった大勝負にも挑める。