J1復帰を後押しするストライカーの帰還
J1復帰に向けて、チーム内トップタイの今季7得点を記録しているストライカーの帰還も“ポジティブ”な要素だ。
千葉はJ2第21節カターレ富山戦以降欠場していたFW石川大地がトレーニングに復帰。当初は2、3週間ほどの離脱予定だったが、7月の中断期間中に行われた練習試合で受傷箇所を再負傷した。
「『さあ、ここから行くぞ!』というタイミングで、振り出しに戻ってしまった。再負傷で長引いてしまい、浮き沈みがあるような難しい時間を過ごしました。同じ箇所を2回やってしまったので慎重にもなりますし、長い期間を見ないと復帰させられないということで、難しさはありました」と石川。
石川の負傷中に、チームはJ1横浜FCからFW森海渡を期限付き移籍で獲得。同選手にいまだゴールはないが、身体を張ったポストプレーやパワフルな裏抜けからチャンスを演出している。
また背番号20がスタメンを務めていたポジションは、FWカルリーニョス・ジュニオが定位置を確保。出場した直近3試合で2得点を奪っており、石川と同じくゴール数を7に伸ばした。
ライバルたちの台頭について「頼もしかったですね。みんなが難しい試合でも勝点を取ってくれた。目標は昇格することですし、素直にすごくうれしかったです」と口にしつつも、内心ではふつふつと湧き上がるものがある。
「やっぱりピッチに出られないもどかしさもありました。自分も早くこのピッチに立ってゲームをしたかったです」
石川は悔しさをトレーニングにぶつけている。
今月10日に行われた公開練習では、復帰明けにも関わらず、パワフルなヘディングシュートで指揮官にアピール。コンディションの良さを証明した。
「いま、自分の中で明らかにギラギラした気持ちが出ている。それがないと試合に出られないと思うので、アピールの部分では自分は前線の選手ですし、そういう気持ちは絶対になくさないで、練習からやっていきたい。
もちろん、気持ち的なしんどさはありましたが、起きてしまったことはしょうがない。すぐに復帰したときのイメージを持ってリハビリに臨めたので、心と体がいい状態にあります。いまはゴールしか考えていないですね」と、戻ってきたストライカーがラスト10試合を勝利に導く。
全試合が決勝戦
小林監督は「次が自分たちにとっての決勝戦」と全試合を位置付け、“あえて”緊迫した状況であると選手たちに伝えた。ここからは、1試合でも落とせば自動昇格圏内、最悪の場合はJ1昇格PO圏内から脱落するデスゲームだ。
「この状況で集中力がないわけない」とMF髙橋壱晟(いっせい)。一寸先は闇の中でもイレブンは、他クラブの状況うんぬんではなく自分たちに矢印を向けている。なぜなら、勝ち続ければJ1に戻れるというポジティブな状況にあるからだ。
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これ以上は勝点を落とせない危機感はあるが、全勝すれば無条件でJ1に行ける。千葉は不退転の覚悟で残り10試合を戦う。
(取材・文・構成 浅野凜太郎)