状況はポジティブと強調する鳥海
千葉の状況はポジティブか否か。残り10試合という節目に際して、ここまでリーグ戦27試合に出場しているDF鳥海晃司に聞きたかった。
今季よりJ1セレッソ大阪から5シーズンぶりに帰還した背番号24は「逆にどうしてポジティブじゃないんですか。だって、2位ですよ。全部勝てば自動昇格できる。優勝を狙える位置にいることは、予定どおりですよ」と力強く口にした。
鳥海の「どうして」という言葉に、質問の意図を伝えた。指揮官が語った得失点差の話だ。
千葉はJ1昇格プレーオフ(PO)行きを逃した昨季最終節で6位に位置し、同勝点で7位ベガルタ仙台が猛追していた。だが、仮に最終節で敗戦を喫したとしても同時刻に大分トリニータと対戦していた仙台が敗戦すれば、得失点差の関係でほぼ確実にJ1昇格POに食い込めるという状況だった(6位千葉が勝点61の得失点差プラス23、7位仙台勝点61の得失点差プラス5)。
得失点差は、16年もの間J2の辛酸をなめ続けてきた千葉にとって留意せずにはいられないポイントのはずだ。
しかし鳥海の認識は違った。
鳥海に昨季の状況を伝えると、「そうだったんですね。でも、それもポジティブですよね。勝てばいいわけですから。やっぱりその位置(J1昇格POを狙える順位)にいて、自分たちでつかみとることができるという状況がポジティブ。他力じゃないんですから、ポジティブですよ」と頼もしい言葉が返ってきた。
調子を取り戻した山形戦以降、千葉は1得点差で肉薄する試合を重ねてきた。
攻撃面では新加入MFイサカ・ゼインが右サイドで躍動し、存在感を放つ。さらに守備面では鳥海とコンビを組むDF河野貴志が完璧にフィットし、スペイン人GKホセ・スアレスがスーパーセーブでピンチを救ってきた。
J2最終局面を前に、泥臭く勝点をもぎ取るという自分たちの“勝ち筋”が見えてきた。
背番号24は残り10試合を前に「あと10試合で昇格できるなという感覚」と自信を口にした。生え抜きから繰り返し強調される“ポジティブ”という言葉は、死闘を乗り越えてきた経験に裏付けされたものだ。
背番号24は「まずは泥臭く勝つことが大事だと思います。複数得点を取れて、ゼロで抑えられるのが一番理想だとは思いますけど、勝たないと、そもそも始まらない。ただ、僕自身を含めてクオリティの部分はもっと上げられると思いますし、満足している選手はいない。
というのも、今年J1から来ましたけど、パスのクオリティや選手の立ち位置、守備の質はもっと突き詰められる選手たちがそろっている。それはキャンプのときも感じましたし、だからJ1相手に1試合も勝てなかった。でもクオリティはすぐに上がるものではない。サポーターを含めたチームの一体感やまとまり、そういう雰囲気を大事にしながら、1試合1試合を大事にしなければいけない」と、J1復帰への10試合を戦う。