“三人の田中雄大”の活躍が刺激に
そして昨年12月、ついに田中はJ3を戦っている福島への入団が決まった。
京都大出身者初のJリーガーとして注目を集めた田中だが、同時に「Jリーグ通算四人目の田中雄大」としても話題になった。
最初に登録された田中雄大とは同じ滋賀県野洲市出身で、二人目の田中雄大はポジションが同じGK、三人目の田中雄大は生まれ年が同じ1999年生まれと、偶然にも全員に何らかの共通点がある。
福島の背番号41は、「J1などで活躍されてこられた皆さんなので、まだまだ自分はそこには及ばない。意識するというより、刺激をもらっていますね。検索すると、ほかの田中雄大が一番先に出てくる。 でも、同じ名前で活躍している人がいることで、『一緒に戦っている感』みたいなものを勝手に感じさせてもらいながら頑張れている」と、ほかの田中雄大の活躍が力になっているようだ。
福島は現在リーグ戦12位と、昇格に向けて苦しい順位だが、新人GKは諦めていない。
田中は「まずはチームとしてしっかりJ2昇格という目標を達成すること。そのために自分がまずできることを。それはピッチに立って活躍することでもありますし、それ以外のところでもできることはたくさんあると思う。1分、1秒しっかりとチームのために行動できるようにやっていきたい」と、今季の意気込みを語った。
また福島入団以降、地域の個人宅訪問やあいさつ運動などを続けている田中は、クラブがより多くの人に応援されるように成長するためにも、この活動に引き続き力を入れていきたいと考えている。
「福島が地域の皆さんに応援していただいているチームだからこそ、(地域の)皆さんの生の声を聞いて、勉強させていただくことは大切だと思います。こうして一軒、一軒まわっていくことで、少しでも僕の存在であったり福島の存在が、身近に感じてもらえたらいいなと思っています。その『日常に溶け込んでいる感』というのは、いずれ福島ユナイテッドを力強く応援してくれる人たちが増えるきっかけにもなると思う。もちろんプレーが大事ですが、地域活動もプロだからできる活動でもあると思うので、今後も(この活動を)大切にして、しっかりやっていきたい」とこぶしを握りしめた。
最後に田中は、やりたいことや進路で悩む人へ、メッセージをくれた。
「僕も最初は迷いながら進路を決めた部分がありますが、退路を断って覚悟を決めて進んでいくことで、見えてくることもあると思う。思い切ってまずは飛び込んでもいいと思います。
あとは努力も大切ですが、環境に入って慣れていけば、道が見えてくることもあると思うので、『心配しすぎずに』じゃないですけど、自分の信じた道を突き進んでいくことが、道を切り開く一つの手段だと思います。一緒に頑張っていければと思っています」
学問とサッカー、田中はこれまでそのどちらにも真摯に向き合ってきた。彼の歩みは、夢を諦めないすべての人にとって力強い希望になる。
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異色の経歴を持つGKの挑戦は始まったばかりだ。