J1復帰に向けて英気を養う

リーグ戦4試合ぶりの得点にイレブンとサポーターは歓喜。周囲は勝利を確信したかのようにパフォーマンスを求めたが、当の本人はいたって冷静だった。

「(得点を決めたときが)ロスタイムくらいだったら喜べましたが、『勝つというのは難しい』とここ何試合かでずっと思っていたので、すぐに守り切る方に頭を切り替えました。自分がそれ(パフォーマンス)で浮かれるのも嫌だし、僕は守備の選手なので守ることしか考えていなかったです」と、公式戦9試合ぶり勝利に向けて確固たる信念を見せた。

背番号24が危惧(きぐ)していたように、山形は失点後もクロスボールを中心に何度も攻め立て、最後まで千葉の脅威であり続けた。イレブンは身体を張ってゴールを死守。再び首位に返り咲こうと、一致団結した。

試合終了直後の鳥海(中央)

試合はそのまま1-0で終了。死闘を制した千葉は公式戦9試合ぶりの勝点3を手にし、2位に浮上した。

「みんなここまでフラストレーションは溜まっていましたが、その中でも同じ方向を向いてやることが大事だから、そこをすり合わせようと練習から全員で努力してきました。それがきょうの勝ちを持ってこられた要因だと思います」と久しぶりの勝因を口にした。

次節は中断期間を挟んだ来月2日午後7時からホームのフクダ電子アリーナでいわきFCと対戦する。

首位奪還とJ1自動昇格圏内キープのためにも負けられない戦いは続くが、鳥海は休息の必要性を強調した。

サポーターと喜ぶ千葉イレブン

「絶対に心と体をリフレッシュしないといけない。ここまで1位でみんなもしんどかったと思います。1位で走ったことがないチームなので、追い抜かれたり、追い詰められたことで、みんな疲弊しています。

ただ、オフ前に勝つか負けるかで(中断期間中に)考えることが違ってくるので、本当に大きい勝利だったと思います。逆に今度は(首位水戸ホーリーホックに)追いつくだけなので、みんなで突っ走っていきたい」と英気を養う。

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中断期間を終えた千葉はどんな姿でピッチに帰ってくるだろうか。宿敵撃破の勢いそのままに、長いトンネルを抜け出したイレブンが、次こそ満員のフクアリに勝利を届ける。

(取材・文 浅野凜太郎)

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