ピッチで失ったものはピッチでしか返せない

山形はリーグ戦4連敗で17位と苦境に立たされていた。前節に開催されたベガルタ仙台とのみちのくダービーに3-4で敗れ、責任を取る形で渡邉監督が契約解除となった。

イレブンもその責任を深く感じている。

決勝点を決めたディサロは「監督が辞めてしまったのは僕たちの責任でもあった。責任を感じていましたし、こういう世界なので切り替えるしかない部分もある。切り替えて、みんなでいい準備をしてきた思います」と、視線を下げて激動の1週間を振り返った。

ただ前指揮官の想いを継承しようとチーム一丸となって奮闘した。雨の中でも球際で厳しくチャレンジし、弱々しかった青と白のイレブンはピッチにいなかった。

土居主将は「監督が責任を取って退任するという形になりましたけど、プレーしていたのは僕らです。結果が出せなかったのは僕らの責任でもある。監督の最後のあいさつも『これを機に、浮上していくこと、そして山形が変わってくれることを願っています』と言ってくれました」とバトンを託されていた。

この日途中出場ながら決勝アシストを演出した土居主将(右はじ)

指揮官が掲げていた攻めの姿勢を最後まで崩さずに、イレブンは先制を許しても秋田のゴールを果敢に攻め続けた。最後まで諦めない姿勢は、これまでも見せ続けていたが、この日はいつも以上の気迫で勝利を追い求めた。

「ピッチで失ったものはピッチでしか返せないと思うので、まずこの初めの一戦で体現できたのは良かったと思います」と言葉に力を込めていた。

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降雨の死闘を制した山形は28日午後7時に次節ホームでV・ファーレン長崎と対戦する。みちのくダービーに敗れたが、東北対決を制して浮上のきっかけをつかみつつある。青と白のイレブンの反撃はここからだ。

(取材・文 高橋アオ)

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