昨季大宮でJ3優勝の植田が強調する控え組の重要性

植田は今季より育成型期限付き移籍で千葉に加入するも、ここまで公式戦の出場はゼロ。個人として苦しい時期が続いたものの、背番号26はトレーニングからひたむきに努力を続けてきた。

「常にチャンスをうかがいながら、練習に取り組んでいました。そして自分の調子が良くなってきたときに、ちょうど天皇杯があったので、『絶好のチャンスだな』という感覚でした」とチームを勝利に導きたかった。

サポーターに頭を下げる植田

勝点37でJ2首位に位置している千葉だが、今月15日午後7時からアウェイの鳴門・大塚スポーツパーク ポカリスエットスタジアムで行われるJ2徳島ヴォルティスとの第19節で勝利できなければ、勝点35で並ぶ2位のRB大宮アルディージャと3位水戸ホーリーホックに1位を奪われる可能性がある。

チームは公式戦4試合未勝利でトンネルに入っている。昨季はJ3優勝を果たした大宮の一員として戦った植田が、この危機的状況について語った。

「去年、大宮にいたときも悪い流れのときがありました。でも練習の雰囲気から言葉にできない自信みたいなものを感じたんです。対戦相手からも『強くはなかったけど、勝てない』と言われることが多かった。

僕は(千葉が)勝っていたときにずっと試合を見ている側でしたが、そのときはチームの勢いもあったし、相手に先制点を取られても、すぐに得点を取り返せるイメージができた。でも最近はそういうイメージができないというか、不安な感じですね」

クロスでチャンスを演出した植田

じりじりと首位浮上を狙っている大宮の長澤徹監督とは京都、大宮で共闘。20歳の左サイドバックは敵将から、勝者のメンタリティを学び、チームが不調から立ち直っていく姿を何度も見てきた。

植田は千葉が首位を堅持するためには、自分たちのような控え選手の台頭が必要だと、これまでの経験を踏まえて言い切った。

「僕が言うのもなんですけど、どこかで連勝して流れを持ってこないときついと思います。そのためには途中から(試合に)入る選手が流れを変えていく必要があるし、大宮でも途中から(試合に)出た選手の活躍で勢いが戻ることがありました」と、ライバルクラブでの経験を千葉に還元する。

試合後の涙は決意に変わっていた。

試合後の千葉イレブン

J1復帰への機は熟した。J2首位を走るジェフユナイテッド千葉の躍進とラストピースに迫る

植田は「リーグ戦でいえば前期が終わるタイミングでの出場になりましたが、まだ後期がある。自分はリーグ戦に出ていなくて、(相手から)マークもされていない。ここから活躍して新しい波を作りたいですし、チームで優勝と昇格をしたいです」と、リーグ戦折り返しに向けて意気込んだ。

(取材・文・写真 浅野凜太郎)

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