あの二人は特殊
インドネシアの人口は同国中央統計庁によれば、2024年で約2億8348万人の人口を誇り、人口の多さは世界で4番目だ。豊富な人口リソースを持つ同国で最も盛んなスポーツはサッカーであり、競技人口も多い。リドやフェルディナンのような才能が今後多く輩出されるかといえば、異なるようだ。
山本は「あの二人が特殊だと思います。リーグでは今年も『この若い選手が活躍した』という賞がありますけど、(山本と同僚だった)当時のマルセリーノと比べると全然大したことがない。ディフェンスに関してはインドネシア人では見ないですね。リスキ・リド以外にいい選手がいるかと聞かれたら、もう一人インドネシア人がいるんですけど、リスキ・リドのほうが圧倒的にいいですね」と天才二人は格が違うと説明した。
東南アジア全体で見通しても比類なき才能と高く評価される2選手は、10代のときから同国を支える才能と高く評価されてきた。両選手をよく知る山本も普段の振る舞いから異質さを感じ取っていた。
「すごく落ち着いていましたね。その当時、いまでもまだ若いんですけど、特に試合直前なんて結構みんな気合が入っていて大きな声を出す選手がいたり、落ち着きのない選手がいるんですけど、その当時から二人はすごく落ち着いていて慣れている感じでやっていました」と明かした。
二人の才能を早くから見抜いていた山本は「その二人と一緒にやっていたので運が良かったのかな。ちなみに僕はマルセリーノのジャージーを持っています。当時『こいつはいい選手だ』と聞いていて、最後の最後に奪い取ってきました(笑)。一応(シャツを)交換しておきました」と、笑いを交えながら誇らしげに語った。
両選手の話を進める内に山本は、Qolyに紹介したい選手がいると切り出してきた。現在ブルネイ1部DPMMに所属するインドネシア代表FWラマダン・サナンタだ。
ペルシス・ソロで同僚だった山本は「ちなみにもう一人いて、インドネシア代表にチームメイトがいます。自分がいま所属しているペルシス・ソロのFWでラマダン・サナンタです。彼とも1年半一緒にやっていて、すごく仲も良くてよくご飯も行ったりしていたんです。彼は来シーズン移籍するんですけど、一応自分は彼にも注目しています。
サナンタもインドネシア人の中では身体能力が抜けていますね。若くてちょっとアホなんですけど、自分をコントロールできなくて(苦笑)。ただハマったときの怖さはすごくあります。ゴール前での嗅覚も持っているので、ベンチに入るのか分からないですけど、出たら何か見せてほしいなと思っています。一応ユニフォームを(サナンタから)もらいました(笑)。サナンタとは結構仲良かったんですよ。正直に言って一番期待というか頑張ってほしいです」と、22歳ストライカーにエールを送っていた。
インドネシア代表は現在最終予選グループCで6チーム中4位と健闘しており、ワールドカップ出場権を得られる4次予選進出圏内(3、4位)に入っている。中国戦の勝利、日本から勝点獲得を狙っており、2選手への期待は国内で高まっているという。
山本は「インドネシアが勝つにしろ、負けるにしろ、その二人には活躍をしてほしいなと思っています。それこそマルセリーノだったら、日本の中盤はすごくいい選手しかいないと思うんですけど、その中でいままで見せていたようなプレーを見せてくれて、得点に絡むシーンを見たいです。リスキ・リドがもし試合に出たら日本のFWを抑えたり、あのプレッシャー、プレスがくる中でいままで通りビルドアップとパスを見せてほしいと思います」と元同僚の健闘を祈っていた。
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インタビュー終わりに「いまインドネシアが代表としてもどんどん上を目指していっている。二人が中心となってワールドカップにでも行って活躍してくれたらいいと思います」と期待を打ち明けた山本。日本戦でどのような活躍を見せるのか興味が尽きない。