ジェフは勝たなといけないクラブ

河野は「僕も大輔さんに頼りっぱなしではいけないので、自分からもしっかりと発信していこうと思っていました」とチームメイトに指示を出し続け、守備を統率。デュエルの場面では力強いディフェンスで相手フォワードをなぎ倒し、ピンチの芽を摘んだ。

この試合では堂々とプレーした河野はリーグ杯後に知り合いから「お前らしくないし、お前らしさを原点に戻って出した方がいい」と叱咤激励を受けていた。自身の強みを見失いかけていた男は自分と向き合って努力を重ねたことで、アピールが実って試合前日にスタメン入りを告げられた。

指揮官は「今回、鳥海のアクシデントで(河野に)チャンスが回ってきたわけですが、これだけ鳥海、鈴木大輔という二人でやってきた中で、ポッと(試合に)使われても、あれだけのパフォーマンスをやれたというところはすごく良かった。

貴志に関しては90分を通して、フィジカルコンディション的にも準備してきた選手だと証明できましたし、(身体の)強さは彼の一番のストロングだと思います。それ以外にも攻撃の部分で長いボールでチャンスを作っている場面もあった」と、見事にフィットした28歳のディフェンダーを称賛した。

小林監督

背番号28の活躍もあり、相手に自由を与えなかった千葉。前後半を通じて山口を圧倒し、計18本ものシュートを放ったが、ゴールネットは揺らせなかった。試合はそのまま0-0で終了し、リーグ戦3試合連続未勝利となった。

クリーンシートに貢献した河野だったが、自らのパフォーマンスについては「50点」と評価。小林監督からは、パスミスからカウンターを受ける場面を指摘されており、課題も見つかった。

「もっとやれると思うので、自分に期待を込めて50点です。後ろの選手としてゼロに終われたことはプラスですが、やっぱりジェフは勝たないといけないチームなので、勝てなかったことが悔しいです」と唇を噛んだ。

次戦は6月11日の午後7時からホームでJ2ロアッソ熊本と天皇杯2回戦を戦う。

J1復帰への機は熟した。J2首位を走るジェフユナイテッド千葉の躍進とラストピースに迫る

試合後、河野は「満足したら終わり」と気を引き締めた。「勝ちたいという気持ちがもっと強くなれば絶対に勝てる」と、背番号28が鈴木と鳥海のコンビに割って入り、チームを再び連勝街道へと導く。

(取材・文 浅野凜太郎)

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