法政大で培った“いまに生きる経験”

現在ベルギーでプレーする明本とともに、栃木SCアカデミーでトップチームデビューを目指していた森だったが、プロの壁は厚く、アカデミー卒業時点で契約を勝ち取れなかった。

その後、都内の法政大に進学したMFは、少年時代を過ごした栃木SCアカデミーと、大学サッカーの違いに驚きつつも、その違いを楽しみながら自身の成長につなげた。

ーー栃木SCアカデミーから法政大に進学した経緯を教えてください。

「明本も一緒なんですけど、同じタイミングでトップチームに上がれないと言われて、そこから大学に進学する(進路)しかなくなりました。その中で、(法政大から)練習参加の誘いが来て行きました。そのときに楽しくサッカーができたので、法政大に入りたいと思って、スポーツ推薦で入部させていただきました」

ーーいまに生きている法政大での経験はありますか。

「法政大の経験はいろんなところで生きています。ピッチ内外の両面あると思います。ピッチ内のところで言うと、もともと(僕は)守備を全然しないタイプだったんです。 でも、いまは対人の守備にも自信があります。(僕が)対人で負けないイメージを持ってくれている人も多いと思うんですけど、高校まではそんなことはなくて、大学に行ってそれを学んで、自分のプレーの幅が広がりました。

ピッチ外で(学んだこと)は、役職や仕事というところです。大学サッカーは選手が全部やるので、アカデミー時代はコーチにお世話になっていたところを経験できました。 例えば、バスの手配を選手がするとか、ホテルの手配をするとか、そういうことをすべて選手がやるので、勉強になりました」

ーー栃木SC復帰の経緯を教えてください。

「もともと就職するか迷っていた時期があって、『もうサッカーは辞めよう』という考えだったんですけど、天皇杯でJ1とJ2(のチーム)を倒すことができて、そこでプロでやっていきたいと考え方が変わりました。でもそのときはもう8月ぐらいだったので、みんな内定先が決まっていて、チームも(入団する選手が)決まっているから、どこも拾ってくれるところがない状況になりました。それで栃木SCが『アカデミーだった』ということで僕を受け入れてくれました」

ーー森選手は栃木SCで背番号10番を背負いました。なかなかプロ2年目の選手がつけられる番号ではないと思いますが。

「そのときは(背番号10番が)空いていて、(チームから)『10番どう?』と聞かれて『着けられるなら着けさせてもらってもいいですか』という感じで決まりましたね」

ーーアカデミー時代を含めて、栃木SCで過ごした日々は、森選手にとってどのような時間でしたか。

「人生の財産というか、本当にいい経験をさせていただいたなと。小学生のころから濃密な時間を過ごせたので、いま僕がプロ選手としてプレーできているのは栃木SCのおかげだと思います」

大学4年のときにサッカーを辞めようと思っていた森。それでもチームの天皇杯での躍進が、サッカーへの想いを再燃させ、プロへの道を切り開いた。

最終頁では、今季チームから求められている役割や、今季の目標について意気込みを聞いた。