今年1月5日、衝撃的なニュースが飛び込んできた。J3栃木SCのMF森俊貴が、同県に本拠地を置くJ3栃木シティへ完全移籍で加入した。
栃木SCのアカデミー出身で、昨季まで背番号10番を背負ったチームの顔が、今季からJ3に参入した同県の新興クラブに移籍したニュースは、両クラブのファンから様々な反応が寄せられた。
今回Qolyは、森にインタビューを実施。
栃木の2クラブがJリーグで戦う初のシーズンとなった今季に、“禁断の移籍”を決断した理由や、古巣とのダービーへの想い、今季の目標について話を伺った。
(取材・文・構成 縄手猟)
移籍の決め手は後悔と成長
試合では激しく体をぶつけてボールを奪い、力強いドリブルや高精度のクロスボールを武器にチームを牽引するプレーが印象的な森だが、この日クラブハウスに現れた背番号8は終始にこやかな表情でインタビューに応じた。
アカデミー時代を栃木SCで過ごし、同クラブでプロデビューも果たした森がライバルクラブへの移籍を決めた背景には、自身の力不足でチームを降格させてしまった後悔と、サッカー選手として貪欲に成長を目指したいという純粋な意欲があった。
ーー栃木Cへ移籍をした経緯を教えてください。
「栃木SCを降格させてしまって、自分自身の実力のなさをここ数年で痛感しました。その中で、自分にとってどういう選択が一番いいのか。もちろん、栃木SCのこともいろいろ考えて、僕自身の能力を上げていかないと駄目だなと思いました。いろんな選択肢を模索していた中で、(栃木)シティが僕に手を差し伸べてくれるような形で、ありがたいお話をいただきました」
ーー同じ栃木県のチームから届いたオファーについて、最初はどう思いましたか。
「少なからず影響というのは、いろんな方面にあると感じたんですけど、やっぱり最後に決めるのは僕自身です。あとは(僕が)一番重きを置いていた『自分がどういうサッカー選手になりたいか』と『自分の特徴をどういう環境で生かすか』を考えたときに、(栃木)シティにお世話になった方がいいと感じました」
ーー純粋に自身の成長を考えて決断したのですね。入団前といまとでは栃木Cの印象は変わりましたか。
「入団前(の印象)はめちゃめちゃタフでアグレッシブに戦うすごくいいチームだなと。去年、(栃木Cと)練習試合をさせていただいて、そのときもそう思っていましたし、リーグ戦を観ていても感じました。実際に(チームに)入ってからは思っていた数倍レベルが高いと感じました」
ーー栃木Cは関東1部、JFLから駆け上がるようにJリーグ参入を決めました。入団当初からチームに勢いを感じましたか。
「感じましたね。積み上げてきたものの大きさとか、そこから出てくる自信もそう。それがいまの成績につながっていると思います」
ーー今季からJリーグに参入した栃木Cですが、サポーターの一体感や後押しがすごいと感じました。
「めちゃめちゃ後押しをしてもらっていると感じます。 現場のコーチングスタッフらがつくり出す雰囲気はすごくポジティブで、それが選手に伝染しているのか、(チームも)ポジティブな集団になっています。それがさらにサポーターにもつながっていて、だからサポーターも前向きな発信を続けてくれていると感じています。本当にサポーターや選手、スタッフを含めて、一体感があるなと」
ーー最近、森選手のチャントもできましたよね。
「本当ですか!すごく早いですね!ちょっと集中して聞いてみます(笑)」
今季から栃木Cに加わった森は、スタッフやファンからの温かいサポートを感じているようだ。
日々、新たなチームに適応しようと努めている同選手は、今年3月に行われた古巣・栃木SCとの“特別なダービーマッチ”についても振り返った。