最低限と評価した秋田戦のパフォーマンス
そして迎えた秋田戦。リーグ戦通算対戦成績1勝1分6敗で、これまでに4得点しか奪えていない堅守の相手に対して、横山は2トップの一角で先発した。
今季の千葉ではそのポジションをFW石川大地が務めていたものの、同選手はこの日欠場。ドリブルとパスで局面を打開でき、なおかつ身体を張って闘える横山が本職の位置に戻った。
「トップ下やインサイドハーフで出場するなら、いつも以上にトランジションや(ゴールにつながるプレーの)回数が増えるだろうと思っていた」と久しぶりに定位置で出場したが、秋田のハードワークが横山の自由を封じた。
序盤からロングボールを多用し、激しい球際と徹底されたハードワークで千葉に挑んだアウェイチーム。前半6分に奪ったエドゥアルドの先制弾後もそのスタイルは変わらず、セカンドボールの回収が勝負の明暗を分けた。
背番号10は守備で奮闘。自陣ボックス内まで戻り、気迫のディフェンスで五分五分のボールを奪い取ると、そのまま味方へパスを供給し、カウンターにつなげようとした。横山はなかなかゴール前でボールを受けられず、得意のドリブル突破の機会も限られたが、身を粉にした守備で勢いを与えた。
「秋田のやり方に対応していく中で、守備ではバトルの部分やセカンドボールの争いをチームの土台として当たり前のようにやらなきゃいけない」とチームの勝利を第一に考えたプレーだった。
球際の闘いで負けなかった千葉が流れを手繰り寄せた。前半38分にFWカルリーニョス・ジュニオが頭で決勝点を奪うと、さらに後半3分には左足で追加点をマーク。イレブンは苦手とする秋田に対して成長した姿を見せつけ、3-1で勝利した。
試合後、背番号10は「自分が得点を取れなかったという意味では、最低限だと思います」と自身のパフォーマンスを評価。後半47分に訪れたDF河野貴志からの縦パスを決め切れなかったシーンについては「特にあのような場面で確実にゴール、最悪でもシュートまで持っていかなければいけない」と反省点を口にした。
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横山は29日の午後2時にえがお健康スタジアムで行われるロアッソ熊本との次節で、リーグ戦6試合ぶりの得点を目指す。自身の「存在意義」について自問自答し続ける背番号10が、火の国で笑ってみせる。
(取材・文 浅野凜太郎、写真 縄手猟)