鳥栖戦では、楔のパスをカットした荒木の鋭い出足も光った。この場面に限らず、荒木はどんどん前に出て、相手フォワードに起点を作らせない働きぶりが素晴らしい。対人戦と空中戦に強く、守備範囲が広い背番号4は“ハイプレス型”にうってつけだ。

リベロが積極的に前へ出ることで、ハイプレス回避時に生じる広大なスペースを埋めることができ、自軍ペナルティーエリアよりも遥かに遠い位置で攻撃の芽を摘めるメリットがある。

もちろん、リベロがボールを奪い切れずかわされると一気にピンチとなる。だが、対人戦にめっぽう強い塩谷司&佐々木翔が両脇に、最後の砦には日本代表GKの大迫敬介が控えており、そう簡単には崩れない。開幕からの4試合でリーグ最少の1失点という事実が、鉄壁ぶりを物語る。

“異例の補強”がもたらすモノとは?

9年ぶりのリーグ優勝を狙うサンフレッチェ広島にとって、文字通り試金石となったのが、第4節・ヴィッセル神戸戦だ。

神戸は強度の高い連動したプレスと対角へのロングボールを効果的に活用するスタイルで、昨季のJ1を制覇。連覇を目指す今季も強みは健在で、積極的な補強により戦力アップに成功した。

注目の一戦は、神戸がロングボールを大迫勇也に集め、セカンドボールを両チームが奪い合う展開に。お互いが相手のディフェンスラインの裏を狙い続けるハイテンポなゲームは、スコアレスドローながら見ごたえ抜群だった。

アウェイでの戦いで勝点1を持ち帰った広島が見せたのは、守備陣の強固さだ。

リベロの荒木隼人は、ロングボールのターゲットである大迫勇也と迫力満点のエアバトルを繰り広げ、相手のキーマンを見事に抑え込む。大迫がサイドに流れた際も、右ストッパーの塩谷司がしっかりとカバー。打開力に優れた武藤嘉紀は、左ストッパーの佐々木翔が試合を通して入念にケアし、ゴールを許さなかった。

試合後にスキッベ監督は、「(前略)ウチの3バックは本当に相手の脅威となるオフェンスをしっかり抑えたと思います」と守備陣を称賛。武藤の決定機を好セーブで防いだ守護神の大迫敬介も、「味方もコースを限定していたので、難しいシーンではありましたけど、みんなで協力して防ぐことができたと思います」と振り返った。

不動の3バックの充実ぶりは頼もしい限りだが、バックアップを担う山﨑大地が3月5日のトレーニング中に負傷し、全治9~10ヶ月の大ケガを負うアクシデントが起きてしまう。