取り戻した点取り屋としての本能
上田がいなくなり、鹿島には核となるFWが不在となった。
しかし鈴木は下がってゲームメイクすることに固執する。実際、当時のヒートマップを見ても、左サイドやボランチ近くまで色が濃くなっていた。
日に日にゴールから離れポジションが下がっていく鈴木に対し、鹿島ファンはもちろん彼を日本代表のFWとして推していたファンもまたやきもきした。
確かに彼のワンステップで逆サイドまで正確に届けるロングパスや、半身の体勢からあげるクロスなどは魅力的だった。
だが、ゴール前での駆け引きや力強さ、相手を背負ってのキープ力、競り合いに強く正確なヘディングは(ヘディングを除けば)上田に足りないものであり、そのまま日本代表に最も欠けているものでもあった。
カタールワールドカップでの日本代表は一般的に成功と考えられているが、もし鈴木がFWにいて機能していればもう一段階上の景色を望めたのかもしれないーーそんな想いを抱かざるを得ない。
そんな妄想はさておき、その鈴木は最近、ようやくFWとしてのプレーに集中できるようになった。
3試合連続でのゴールはそれを表すものだろう。そしてガンバ戦での強烈なヘディングゴールは、相手との接触を恐れない鈴木のストライカーとしての本能を感じさせるものであった。
やっぱり鈴木にはゴール前がよく似合う。
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再びストライカーとして闘志をむき出しにし、毎週、敵味方を問わずに騒がせるこの男に大いに期待したい。