その境地に立った者にしか見えない景色があるのだろう。和久井さんは当時、得点を挙げることよりもその状況を楽しんでいた。古橋もまたセルティックTVのインタビューで「本当に楽しくサッカーをやっています」と答えていた。プレッシャーから解放された先にあるものは楽しさなのだろう。記録は後からついてくるといった言葉があるように、得点を重ねる選手はいかなる状況でも楽しむメンタリティが必要不可欠なのかもしれない。
――なぜ21得点とゴールを量産できたのでしょうか。
現役時代は決して上手くなかったですし、ストライカーではありませんでした。経歴としてもいいものを持っていたわけではないですし、意識として大事にしていたのは、事前にデータを取って、分析することが僕の中での強みなので。
そこはすごく意識してチームを選んだり、タスク選びや試合前の準備などが特に顕著に出た年(2014年シーズン)だったと感じています。
――データの解析などは相手チームの守備の綻びや特徴など失点パターンの分析などでしょうか。
それも試合前にはあるんですけど、どっちかっていうとリーグや、全体を見ていましたね。例えば、どのリーグを見ても基本的に(得点ランキングで)(リーグの主催国である)自国の選手がトップスコアラーになることはほとんどないんですよ。
基本的にそれ以外の国の選手が(得点ランキング上位に)名を連ねていて、ほとんどの国ではもう50%から70%ぐらい他国の選手がスコアラー(上位)になっている。
ストライカーに求められているものとか、そのリーグでなぜ自国の選手にストライカーがいない点は、その当時から見ていました。その辺を最初から突き詰めて研究していました。