――当事者の多くはトランスジェンダーであることに悩むといいます。いじめられたりLGBTを理由に迫害を受けたりですね。そうしたことはなかったのでしょうか?

はい。女子サッカー界の出来事が「普通」で育ったので逆に引退してからが苦労しました。

一般的的にスポーツ選手がセカンドキャリアで苦労するという話通り「ボールしか蹴ってこなかった」ので仕事のビジネス用語がわからないとかそういうものもあります。それ以上に、世間でトランスジェンダーが特別視されていることにです。実際に就職活動中に1社内定取り消しにあいました。「取引先がどう思うかわからないので辞退してほしい」と。

――現在、スポーツ界では男性から女性へ性別を変更したトランスジェンダーの選手を女子のカテゴリーでプレーさせるべきかどうかという議論が巻き起こっています。当事者としてはどう思いますか?

すごく難しい問題です。今は、IOCの規定で、ホルモン治療を受けてホルモン値が12か月間基準値であれば女性として出場できるなど、ホルモンの値をルールの基準としているようです。男性が女性ホルモンを打てば一般的には脂肪がつきやすく胸がでてくるなどの効果があります。

しかし、「ホルモン値がすべてではないだろう」と思っています。中にはトランスジェンダーではなくても陸上のセメンヤ選手みたいに「男性ホルモン値が高い女性」もいるかもしれません。(編集部注:セメンヤ選手は陸上では男性ホルモン値が高く出場ができなくなりサッカー選手として南アフリカリーグでプレー)