新監督の“微修正”が浮上のキッカケに
冒頭でも触れた通り、今季の鹿島は開幕からのリーグ戦6試合で1勝1分4敗と苦しみ、第9節の北海道コンサドーレ札幌戦終了時点で15位と低迷していた。J2降格という最悪のシナリオもチラつく中、フロントは監督交代に踏み切る。
ザーゴ前監督の後を受けた相馬新監督は、ザーゴ体制でベースとなっていたポゼッションスタイルはそのままに、守備の改善に着手した。
コンパクトな守備ブロックの構築と前線からの連動したプレスを徹底したことで、失点数は減少(ザーゴ体制の平均失点数が1.5/相馬体制では0.89)。
攻守のバランスが整ったことで成績も安定し、就任後の10節・徳島ヴォルティス戦から14節・横浜F・マリノス戦までリーグ戦6試合無敗(5勝1分)を記録。順位も最高で6位まで浮上するなど、チームは上昇気流に乗ったのだった。
もちろん、ザーゴ前監督が現在のチームにもたらしたモノは少なくない。
最終ラインからのビルドアップを基調としたポゼッションスタイルの構築という、これまでの伝統と異なる戦術を植え付け、荒木・松村・染野唯月・沖・舩橋佑ら若武者を積極的に抜擢することで近未来を見据えたチーム作りを推し進めていた。
昨季も開幕から低迷しながら最終的にリーグ戦を5位で終えるなど巻き返したが、今季は4チームが降格する特別なレギュレーション。J2降格という最悪のシナリオを回避するには例年よりも早く手を打つ必要があり、序盤戦での解任はやむなしだったと言えるだろう。