今できる事に全力を尽くす
宮崎:私も今治に来て、本当に通行している人がいませんでした。そこで、町にクラブのカルチャーが根差していくところの接触の仕方をどうやっていたのか、みなさんにうかがっているのですが。
中島:私もどうやったら人に会えるのかなと最初は思っていました(笑)。でも、当たり前ですけど車の中にしか人がいないわけじゃない。これはもう戦略云々とかそんなレベルではなくて、本当に「今できる事に全力を尽くす」っていうだけだと思いました。
精神論みたいですが、例えば私が今治で家を探すために不動産屋に行く。引っ越し業者の人に荷物を運びを手伝ってもらう。ご近所さんに洗剤を持って「引っ越してきました」とご挨拶し、料理は近所のお店に食べに出かける。
少なくても生きている世界において、何かしらの接点ができるわけです。
すると、今治は人懐っこい方が多いので「どこから来たん?」と聞いてくれたりします。そこで「こういう経緯で今治に来たんですが、もし良かったらいつか試合でも見に来てくれませんか?」と。当時、夢スタの建設予定地はまだただの山だったので、想像し難かったと思いますが、そんなことを延々とやるしかなかったですね。
それを10名のスタッフが1名100人ずつやれば1,000人、30名の選手がやればそれだけで4,000人がスタジアムに集まるはずです。その心構えを持っているかどうかが最初のスタートでした。
また、今治には「おんまく」という夏祭りがあります。そこではみんなで踊る場があるのですが、選手もスタッフもみんなで踊りを披露して優秀賞を獲るぞとか。
全体のことを考えつつも、自分たちが今、目の前でできる全力を尽くさないと、誰一人として動いてくれるわけがありません。そこで頑張れないのに、15万人の町全体のことを考えられるわけがないと。
今はどちらかといえば、ちょっと自分たちの力だけではリーチできない人たち、こういうメディアさんなどに協力していただいて、地元のテレビ局にちょっとした番組を作ってもらおうとかできてきましたが。
最初のゼロのところは「全力でがんばる」しかない。その気持ちをみんなで共有して、とにかく一歩踏み出せって状態でした。