執拗に狙われた「カゼミロの脇」

バルセロナのビルドアップ時、レアルは上図の形でプレスを行った。

センターバックに比較的自由を与える代わりにセルヒオ・ブスケツ、アルトゥール、イヴァン・ラキティッチにはマンツーマン気味に対応する。そして幅を取る役割を担ったジョルディ・アルバとセルジ・ロベルトにはそれぞれギャレス・ベイルとマルセロが付く。

しかし、これには大きな問題が2つ存在している。

① ウィングのフィリペ・コウチーニョとラフィーニャがカゼミロの両隣に降りてくることによってカリム・ベンゼマ、イスコ、ルカ・モドリッチのファーストプレッシャーラインが突破された途端に中央で数的不利となってしまう。このままではカゼミロが自分の脇にいる2人を1人で見なければならない。

② ベイルの位置取りが前半を通して何度か怪しかった。コウチーニョが空けた左サイドの大きなスペースを埋めきれず、アルバをフリーにさせることもしばしば。

すなわちナチョは、①によって位置的&数的優位を得たコウチーニョを見るか、②によってタッチライン際でフリーになっているアルバを見るかの2択を強いられることになった。

もし前者をチェックし続ければスピードのあるアルバに一気にサイドを突破され、後者に集中すれば中央を崩される。

ベイルの位置も確かに悪いことは悪いが、それ以上にコウチーニョとラフィーニャのポジショニングがいやらしかった。アンカーを置くチームにとってその脇を狙われることは致命傷に繋がってしまうからだ。

ある特定のエリアに人数をかける“オーバーロード”と、それによって孤立した選手を使う“アイソレーション”という戦術を利用した好例だと言えるだろう。

結局、バルセロナは大外で自由を得たアルバにロングボールを送り、サイドをえぐらせてその折り返しをコウチーニョが落ち着いて沈めてあっさりと先制してしまう。