(話は前回の続きから…)

――日本ではルイス・スアレスのようにファールをもらう選手が下手だという話がでましたが。

だと思います。

原因は、日本の指導者が「それファールだからやめなさい」とプレーを止めてしまっているケースが多いんじゃないかと。

広い目でみるとファールでないものが、個々の基準でファールになってしまっているというか。

僕からすると「引っ張ろうが何しようが、審判が見てなかったらファールじゃない」と思うんですよ。

そういう意識が日本の子供にはないので、将来的には海外との差になりますよね。

――そういう教え方が育成年代ではできていないと、解決していくのは難しいですよね。

結果として、それがチャレンジしない子供も育ててしまっているんですよ。

だから、僕が教えるときは「1対1は何が何でも止めろ」と促します。

極論ですが「相手をこかしてでもいいから、殴ってもいいから止めろ!」みたいな感覚です。

で、やりすぎた時に、「これはダメなんだな」、「ファールなんだな」って後から気付けばいいだろという考え。

だから、チャレンジする前に指導者が子供を止めてしまうと、そういう成長機会も期待できなくなると思うんですよ。

――日本代表監督は「デュエル」を重視していますが、そういう意識を持った選手は、日本の環境から変えないと育ちにくい気がします。

そこを考える指導者が少ないんだと思います。

それはサッカー協会の方針もあるでしょうけど。

たぶん、僕みたいな考えの人間がライセンス講習を受けに行ったら「そんな指導はやめてください」と言われると思います(笑)

――その似たような話で言うと、過去にライセンスを取りにいった際に、違和感があったエピソードがありました。

どんな話ですか?

――「とにかく、対戦相手をリスペクトをしよう」いうJFAの指導がベースにあるからだと思いますが、「対戦相手の話をする時に、子供たちに『敵』という表現は控えましょう」という話を全面的に出していたんです。たしかに、リスペクトは大事ですが、この教え方は、一歩間違うと「絶対に負けない」という精神的な部分の成長を阻害しないかなと。

なるほど!

――ラフプレーは良くないことですが「絶対こいつには負けない」、「何としてでも止めてやろう」という意識は、対戦相手のことを「敵」ぐらいに思わないと、出てこないものなんじゃないかなって。

海外の場合、リスペクトする気持ちと闘う気持ちが上手く共存できるんですけど、日本人は下手ですからね。

――その反面、日本の場合は、リスペクトという部分が、「遠慮」だったり、「弱々しさ」に変わりやすい印象です。

まぁ、サッカーなんて総合格闘技『UFC』のリングと一緒ですからね。

試合中に色んな局面で「食うか食われるか」の戦いです。

そういう意識が子供たちにない限り、やっぱり、伸びにくいと思います。ある程度のレベルで終わってしまうというか。

これも極端な話ですが、ヤンキーのほうがサッカーは上手いと思っています。ある程度、無茶苦茶やるぐらいのほうが(笑)

「意識を変えることから」