相手のプレッシングを跳ね返す方法として、セビージャはロングボールを使っているが、他にも有効な手段はある。
風間八宏曰く、戦術やシステムといったものよりも、局面ごとの個人戦術のレベルが高ければ相手を簡単に外せると。ペップ・バルセロナのプレッシングを破壊してきたウィルシャーが代表的であろうか。しかし、そういった局面を作り出すためには適切なポジショニングやシステムの噛み合わせなどといった複合的要素が不可欠である。偶発的に生まれるものではない。
セビージャは、ナスリ以外はチームのコードやセオリーで外すことを優先してきたからこそ、彼不在時の弱みをそのままレガネスに指摘された状態と言える。この2試合はナスリが欠場していたからこそより鮮明に映ったが、バルセロナなどを苦しめていたベティスのような組織的なプレッシングをするチームも、ナスリがいれば彼をチェックするよう対応している。
シーズンも終盤に差し迫ってきたからこそ、セビージャ対策は現実味を帯びてきている。ビルドアップの阻止を図るチームがより増えていくだろう。これらをどのように跳ね返すのか。ナスリだけで打開するには難しいはずだ。
だからこそ、サンパオリとリージョの手腕に期待が集まる。ロングボールで回避する手段も当然オプションとして残るだろう。イボーラというターゲットが戦力として数えられている事実があるからだ。
しかし、ペップ・グアルディオラは以前に「前進するだけでは攻撃に相応しいポジション、状況なのかさえ分からなくなることがある」と言った。攻撃時に的確なプレーをするには相応のポジショニングが必要なのだ。サンパオリはその意見に大いに賛同するはず。
先日、サンパオリは走行距離が評価される現代サッカーの基準に疑問符を投げかけた。無駄走りを揶揄するコメントだ。プレーの質が悪ければ、フィジカル的要素が求められることになる、という彼の持論。効率性を求める走行距離の質。つまりいかに少ない距離を走り、適切なポジショニングを取るか。ヨハン・クライフの哲学に通じるものがある。
是非とも、フィジカル的なものではなくボールプレーの質でフットボールファンを魅了して欲しいものである。
筆者名:古家政夫
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初めてフットボールに触れたのは98年仏W杯から。Jリーグ、プレミアリーグ、リーガ・エスパニョーラを中心に観戦する日々を送る。最後まで読んで頂けるような文章を書けたらな、とその道を模索中。
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