それは、FIFAが3つのピッチサイズのルールを持っているからである。1つはサッカーの試合をするときのもの、もう1つが国際試合でのもの、もう1つが(先の推奨サイズを用いる)国際大会である。

FIFAが発行している競技規則「Law of the game」によると国際試合のピッチサイズ規定は以下のようになっている。

4. 国際試合用の大きさ

• 長さ(タッチライン)
最大 110m (120ヤード) 最小 100m (110ヤード)
• 長さ(ゴールライン)
最大 75m (80ヤード) 最小 64m (70ヤード)
―FIFA 「Law of the game」より

今回試合が行われたハッザーア・ビン・ザーイド・スタジアムでは左右2mが削られたという。同スタジアムのピッチサイズは公式発表されていないが標準の105m×68mのサイズから横幅を最初の64mに狭めたと予想できる。

サッカーのワールドカップ予選では発展途上国や世界の一地域など多種多様なチームが参加する。それゆえFIFAが推奨するピッチサイズを確保するケースも困難であり、このような措置がとられているのだ。だが、今回会場となったハッザーア・ビン・ザーイド・スタジアムは2014年に年間最優秀スタジアムに選ばれるような素晴らしいもの。ルール上の抜け道をUAEはついたと言われても仕方ないかもしれない。

ところで、ピッチサイズを縮めることでの有利不利についてであるが、ピッチサイズが大きい方がポゼッションがしやすくパスワークが通りやすいというようなことを先のコラムでお伝えした。そして、ストーク・シティのようなチームはかつてピッチサイズを小さくすることで肉弾戦を有利に進めてきた。

そう考えればホームのUAEは司令塔であるオマル・アブドゥラフマンのパスを活かすことよりも、日本代表のパスワークをつぶすことを重視したと言えなくもない。事実この試合では日本の支配率は48%とUAEのほうが高かった(昨年ホームでのUAE戦は63%と支配率では勝利したが敗戦した)。アウェイでは支配率の落ちるUAEだがホームではワールドカップ予選の計測されている試合すべてで51%を超えている。日本相手とはいえ52%の支配率は高いものではないのだ。

それだけにUAEとしてはまさに「策士策に溺れた」恰好だ。

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