日本代表が戦っているワールドカップのアジア予選ではライバルも虎視眈々と本大会出場を狙っている。だが、その強化政策はユースの育成といった地道なものばかりではない。選手を他国から“補強”することもできるからだ。
世界中を見渡しても、単一民族かつ純血の選手たちで構成されたナショナルチームは極わずかである。今日のナショナルチームは、移民やハーフなど国際色豊かなルーツを持った選手が選出されている。特にフランスは、ジュスト・フォンテーヌ(モロッコ出身)、ミシェル・プラティニ(イタリア系)、ジネディーヌ・ジダン(アルジェリア系)など様々な出自を持った選手たちが栄華を築き上げた。現在のフランス代表は純血のフランス人が少なく、移民の力によって世界最強クラスの戦力を保有している。
このように現代サッカーは多様なルーツを持つ選手たちが世界中で活躍している。彼らのルーツは実に多彩であり、「生まれた国」「ルーツの国」の代表チームどちらを選択するかによって“勢力図”が変わる可能性がある。多重国籍から観て強豪国に変貌しそうなアジアの国々を分析した。
アジアは潜在能力抜群
多様な出自を持つことは、ナショナルチームに歓迎される要素だ。主にカタール代表が行っている帰化と違って、制約が“ほぼ存在しない”からだ。帰化の場合、新しく選択した代表の「国」で5年在住(例外的ケースを除き5年継続しての在住が条件)しなければならず、ユース代表の経歴を持たない選手でなければ登録できない(ただし、その時点で移転先の国が存在しなかった場合は認められる。例:コソボや南スーダン)。
しかし多重国籍の選手であれば、そういった制約は受けずに選出が可能だ(A代表歴があっても、FIFA主催の試合に出ていなければ出場可能)。そのため、即戦力級を容易に加えることができる。例えば、シリア代表にシリア生まれのマフムード・ダフード(ボルシアMG)が加わることもありえるわけだ。実際に、ブラジルW杯においてイラン代表がアシュカン・デジャガー(ドイツ系)やレザ・グーチャンネジャド(両親がイラン人だがオランダ育ち)を加え、アルゼンチン代表と善戦したケースがある。
ヨーロッパで育った選手たちはアジアのルーツを選ぶことよりも自分を育んでくれた国を選択している。しかし、もしアジアの国を選んでくれたら…。今後、日本代表を脅かす強豪国が生まれるかもしれない。
今回は、ランキング形式でその可能性があるチームを追求していく。