Xファクター

ダラダラと、超主観的かつ長く、読みづらいこのコラムにもようやくゴールが見えてきた。もう少々お付き合い頂ければ幸いである。

最後にお話しするのは、思わぬ影響を与えし切り札(時としてそれが組織を乱す様も目にしてきた)のことだ。多くの場合、このシートに座るのは“サプライズ”にあたるプレーヤーである。

1998年フランス代表には20歳のダヴィド・トレゼゲが(ティエリ・アンリはサプライズではない)、2006年のドイツはほぼ無名の快速ウインガーとしてピーター・オドンコールを招集した(これに関しては理解できなかったが)。イングランドも同年のW杯で、カンフル剤として17歳のセオ・ウォルコットを呼び寄せている。

しかし私の意見では、今年のイングランドに若さのサプライズなど必要ない。今年ほど選考が難しい大会は私の記憶の中にはない(私の中で不動であったジャック・バットランドの負傷は堪えた)。

ウェストハムのアーロン・クレスウェルはなぜ呼ばれないのか。クリスタル・パレスのスコット・ダンや、ストークのライアン・ショークロスの招集を巡る議論はキリがない。ただ、私が最も選び難いポジションは、ストライカーだと感じている。

今大会、ホジソンはダンカン・ワトモアやルベン・ロスタフ=チークのような若い選手か、自らの教え子であるアンディ・キャロルをフランスへと連れて行くのではないか(フィットネスの状態が良ければ)、と私は予想しているが、これにはそこまで同意はできない(しかし、気の知れた選手を贔屓して選ぶことに関しては全く問題ないと思う。職場とはそういうものだろう)。

一方で、今話題のウェイン・ルーニーを欠かすことはタブーだとも感じている。ただ、これにはひとつ申し上げたい。私がもしマネージャーであるならば、ルーニーは45分の出場で十分だ。

彼の今季のクオリティは正直、私がルーニーを見てきた15シーズンの中で最低だ。ただし、彼が代表にいなければ、一体誰が“イングランド代表の代表”として振る舞うのか。今年のチームは若い。よって、言葉は悪いが“責任を押し付けられる”存在が必要であろう。

仮に早期敗退をすれば、間違いなくホジソンに次いで叩かれるのは主将ルーニーである。この状況こそ、国際経験の少ない選手を伸び伸びとプレーさせるだろう。「イングランドを背負う」ことに関しては、ルーニー以上に慣れた存在はいない。

スティーブン・ジェラードの発言にあった「リスペクトが欠けている」という意見にはそれほど同意できない。ジェラードの本心はわからないが(仮に私と同意見だとしても、立場上言えないだろう)、そういう問題ではなくルーニーは必要だと私は言いたい。

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