GKは足や手を使ったプレーのほかに口を使ったコミュニケーション能力が求められる。言葉の壁を乗り越えて正GKを勝ち取るのは並大抵のことではない。川口能活や林彰洋ら海を渡った日本人は苦戦傾向にあった。
だが、現在では世界中から優れたGKを探して連れてくることが大事なのではないか、という価値観の変化が起きている。
『Guardian』は昨年GKの重要性について「GKの多くは、おそらく常に見落とされてきた」と記している。ピーター・シルトンが1977年にストーク・シティからノッティンガム・フォレストへ移籍した際に27万£を費やしたが、「全ての試合で85分は試合に関与しないGKに高いお金を使ったのは賢明な判断だったのか?」と批判されたという。
実際に、GKの移籍金は安くバロンドールに輝いたのもレフ・ヤシンだけ。注目を浴びるのは常に前線の選手だ。
アーセン・ヴェンゲルは言う。
「偉大なゴールキーパーを持つことなく栄冠を獲得したチームはない。
私は30年間仕事をしているが、ゴールキーパーはフットボールにおいて――そして、タイトルを獲得するに当たって最も不可欠なものであり、最も過小評価されているポジションだと誰もが学んできた。
いつもゴールキーパーよりストライカーの方が高い給与を受け取る。しかし、結局のところ、ストライカーはゴールキーパーよりも重要なものなのか?」
そのヴェンゲルの元でプレーした元アーセナルのGKジョン・ルキッチも追随する。
「良いゴールキーパーは1シーズンに20〜25ゴールをあげるストライカーのように貴重である」
実際に、ピーター・シルトン擁するノッティンガムはリーグ、UEFAチャンピオンズカップを制し1981年のトヨタカップで来日をしている。現代サッカーではGKの重要性は認知され、かつてはストライカーに使われていた移籍金と外国人枠をGKにあてがわれている。
Jリーグに優れた外国人GKがやってくるのも時代の潮流なのだろうか。実際に昨今のJリーグでは日本人GKの移籍も活発であり、度々「玉突き移籍」として話題を振りまいている。その輪の中に外国人が加わっただけ、なのかも知れない。