―われわれは、われわれの歴史のなかにわれわれの未来の秘密が横たはつてゐるといふことを本能的に知る。
明治時代の思想家、岡倉天心は歴史について上記のように述べた。人間は、過去の知を集積し、それを活用することによって発展を成し遂げてきた生き物だ。
だからこそ、スポーツの世界においても歴史を学ぶことは重要だ。
過去の監督が使ってきた戦術を学び、それを発展させる。過去の偉人が血と涙を流しながら作り上げた方法論こそ、後の指導者にとって重要な基礎となるのだ。
指揮官の略歴を知ることは、「指揮官としての傾向、特性」を知る助けになる。戦術の歴史を紐解いていく上でも、こういった図は役立つことだろう。本コラムでは、フットボールの世界における指導者の相関図を作ることで、彼らの特性を紐解いていこうと思う。
前回はオランダ、スペインの系統図を作ったが、今回はイタリア。
フットボールにおいて、「特殊な地」と考えられることも多い戦術の聖地は、ジョゼ・モウリーニョ、カルロ・アンチェロッティ、ディエゴ・シメオネ、ルイス・エンリケなど、多くの指揮官のキャリアにおいて重要なものとなってきた。
3冠を成し遂げたルイス・エンリケは、ローマで大きな挫折を味わい、ディエゴ・シメオネもカターニャでの指揮経験がある。特殊な戦術の地、イタリアでの監督相関図は、興味深いものになるかもしれない。