1.ネイマールのボールを真ん中に置くドリブル

体の真ん中にボールを置く

ブラジル代表のエースであるネイマールのボールコントロールには、ある〝習慣〟があります。

左サイドのライン際にネイマールがいて、足下でパスを受けるシーンを想像してみて下さい。このとき、ネイマールの近くにはマークしているDFがいます。DFは完全に寄せるのではなく、距離を保ちながら、ネイマールの出方をうかがっている。

このとき、ネイマールは〝ニュートラル〟な位置にボールを置きます。ニュートラルとは「中立的」という意味で、その言葉通り、右足と左足の間、ちょうど体の〝真ん中〟にボールがある状態のことを言います。

例えば、同じパスを右足のアウトサイドでコントロールして、体の外側に置いたら、その時点で次のプレー方向は〝決定〟してしまいます。DFからすれば、狙いどころを絞りやすくなります。

しかし、足裏でトラップし、体の真ん中にボールを置けば、プレー方向は〝決定〟されません。中に運ぶこともできるし、縦にも突破できるし、味方にパスをするという選択肢もある。そのため、DFは何をしてくるのかわからず、狙いどころを絞れなくなります。

もちろん、スペースがあって、すぐにドリブルを仕掛けたほうが良いときは、大きく持ち出しても良いでしょう。ただし、そのプレーができないときに、他の引き出しがなければ、ワンパターンになって相手に止められてしまいます。

何をやってくるかわからないマジシャンのように、あらゆる手を持っているのが良いドリブラーの条件です。

ネイマールはブラジル人選手の多くがそうであるように、フットサル出身の選手です。本人も「フットサルの経験は自分に生きている」とコメントしています。

どんな状況でも余裕を持ってボールをコントロールし、ドリブルで仕掛けていけるのは、フットサルで学んだ習慣のおかげといっても過言ではありません。(北健一郎)


確かに、こうなるともう寄せられず、行ったら行ったで結局は映像のようにうまく倒れられてカードという・・・。ネイマールの足下へのニュートラルなボールの入れ方はシュートなどにも生かされているように感じる。


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北健一郎プロフィール

1982年7月6日生まれ。北海道旭川市出身。日本ジャーナリスト専門学校卒業後、放送作家事務所を経て、フリーライターとしての活動を始める。2005年からサッカー専門誌・ストライカーDX(学習研究社)の編集者として働くかたわら、フットサル専門誌・フットサルナビ(白夜書房)を中心に原稿を執筆。2009年3月、ストライカーDX編集部を離れて独立。現在はサッカー、フットサルを中心に活動中。

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