先日、お伝えした通り今冬にニューカッスル・ユナイテッドからニースに移籍したフランス代表MFハテム・ベナルファがFIFAのルール「1シーズン3つ以上のクラブで試合出場が認められない」によって出場が認められず揉めている。

彼に限らず、イングランドから移籍した選手で当該のルールによって来季(2015-16シーズン)まで試合出場が認められないケースが続出しているという。

どういうことなのだろうか?

元々、イングランドは欧州の「夏の移籍」、「冬の移籍」という2つの移籍期間以外にも自由に下部クラブであればレンタルできるルールを制定している。若い選手は1か月や3か月といった短い単位で違うチームへ"修行"に出向いているわけだ。

つまり、これまでは1シーズンに2回も3回もレンタルに出されるのがざら…クラブ側はほぼ1年中選手を出し入れしながらやりくりしていたのがイングランド流だったのだ。ところが、FIFAのルールによって試合出場ができない事態が起こっているのだ。

代表的なケースは以下だ。


ハテム・ベナルファ

今冬ニースへ移籍し背番号4のユニフォームを持って入団会見にも臨んだ。しかし、レンタル先のハル・シティ、所属していたニューカッスル・ユナイテッドのリザーブリーグでの試合に出場していたことが2チームと判定された。


マイケル・ティドサー

ロザラムに所属していたMFは、オールダムにレンタルに出されていた。2015年1月にロザラムとの契約を解除し、スコットランド・リーグワン(実質3部)のグリーノック・モートンへ移籍した。ところが、ロザラムで1試合(4分)出場していたことから試合出場は来季からになる。


レイヴル・モリソン

ウェストハムに所属しイングランドU-21代表として将来を嘱望されているウィンガー。今季はカーディフ・シティへレンタルへ出されていた。今冬ラツィオ移籍が決まったが、同じく来季からの出場となる。ウェストハムで出場した試合はリーグ戦1試合であった。


だが、これはイングランド・フットボールの実情にそぐわないのではないだろうか?

実はFIFAに見つかっていない?だけで今季3チーム、4チームでプレーしている選手はたくさんいるのだ。

例えば、バーミンガムのDFアマリー・ベルは2013/14シーズンにナニートン・タウンへ2度レンタル、キダーミンスターへレンタル、バーミンガムでも1試合に出場しているので計3チームで試合出場している。以前紹介した30分で8部リーグからプレミアリーグへ一気にステップアップしたFWケシ・アンダーソンは今季ブレントフォード(U-21、練習生)、ノリッジ・シティ(U-21、練習生)、バートン・ローヴァーズ、クリスタル・パレスと既に4チームでプレーしている。この様なケースは決して珍しいことではない。

となると、トップチームの試合出場のみ該当とか、3部以下はルールに含まないといった「付帯条項」をつけなければ"被害者"が増えるばかりではないだろうか。

実際に今回のベナルファのケースではLFPがFIFAに対してルールの説明を求めるというシーンが見られた。実際にルールが浸透しないままでは、選手達が半年プレーできない様な事態になっては彼らの生活に関わってくるだろう。


2月には春秋制のMLS行きも噂されたベナルファ、行く末はどうなるのだろうか?

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