『ESPN』は「元シンガポール代表FWアレクサンダル・ジュリッチが今季限りで現役を引退すると発表した」と報じた。
アレクサンダル・ジュリッチは1970年生まれの44歳。ユーゴスラヴィアの生まれであるが、オーストラリアを経て1999年にシンガポールに移籍。その後一度戻ったものの2000年にホーム・ユナイテッドと契約し、その後はSリーグを代表するストライカーとして長く活躍を続けた。
2007年には37歳にしてシンガポールの国籍を取得して代表入りを果たし、エースストライカーとして君臨。極めて遅いデビューでありながらも国際試合53試合に出場し、24ゴールを決めている。
Sリーグではゲイラン・ユナイテッド、アームド・フォーシズ、タンピネス・ローヴァーズなどの強豪クラブでプレーし、国内では519試合に出場、通算376ゴールという記録を残している。
190cmを超える長身を備え、圧倒的な空中戦の強さを武器としながら左足のテクニックにも優れ、ポストプレイヤーとして味方に多くのチャンスを与えてきた。
プロ意識の高さでも知られており、長い間得点感覚を維持していた。それもあって昨年からはタンピネス・ローヴァーズでフィットネスコーチを兼任しており、コーチングライセンスの取得にも務めている。
アレクサンダル・ジュリッチ
「人生の中で最も悲しい日の一つだ。全てを終わらせる日が来ている。ユーゴスラヴィアの小さな町、ドボイで育っていた時には、こんな美しい夢が実現するとは思っていなかった。
最後のホイッスルが鳴る時、私の心にはこれまでプレーした何百もの試合、いくつもの違ったゴール、そして負けた時の失望……一気に心を駆け巡るだろう。
まだ覚えているよ。1999年にシンガポールに来て、タンジョン・パガー・ユナイテッドのクイーンズタウンスタジアムに着いた時、新しいチームメイトに『これは練習場? スタジアムはどこ?』と聞いたのを。彼は私をまじまじと見つめて、その後二人で大笑いした。私は未だに少しバツが悪いよ。
こんなことになるとは夢にも思っていなかった。16年後、44歳でキャリアを終え、同じリーグで321ゴールも決め、16回のタイトルと8回の個人賞を獲るなんてね。
最も誇れる瞬間は、2007年の10月、シンガポールの市民権を受け取って、ラディ(ラドイコ・アヴラモヴィッチ代表監督)によって37歳で代表チームに選出された時だ。デビューしたタジキスタン戦でゴールを決めた。話していると、今でもゾクゾクしてしまうね」