では彼らのスタイルはどのようなものであろうか?
南米といえばまずテクニックという印象があるだろう。しかし厳密には アルゼンチン、ウルグアイ、チリのような白人系が多くフィジカルを生かした激しいサッカーを好むグループと、ブラジル、コロンビアのように黒人が多く、身体能力やテクニックをベースとするグループの2つに分けられる。
ベネズエラは隣国コロンビアに似たテクニック型のチームで、丁寧なパスの繋ぎを特徴とする攻撃型のチームである。一方、南米のもう1つの特徴でもあるマリーシア・ずる賢さには乏しく、正直で引き分けの少なさも目に付いたが、その辺りは前任のファリアス監督がバランスを重視したことで改善されてきている。実際、日本との過去の対戦では固い守備を見せ2試合とも引き分けている。
さて、ベネズエラにとっての今回のアジアツアーは7月に就任したサンビセンテ監督の最初の公式戦となる。サンビセンテ監督は1989年コパ・アメリカに出場した元代表のMFで、指導者へ転身後、国内最強のカラカスを率いて4度の優勝を達成。2012年より率いたサモーラでは同クラブに初優勝をもたらすと翌シーズンには連覇を成し遂げている。今年のリベルタドーレス杯でも準優勝に輝いたパラグアイのナシオナルをグループリーグで下すなど国内最高の監督としての地位を築き、昨年より空白となっていた代表監督に抜擢された。
このたびの日本戦は来年から始まる2018年W杯ロシア大会の南米予選と、その前に行われるコパ・アメリカに向けた大切な強化試合となるが、最近代表引退をほのめかしている34歳のアランゴは自身をしばらく代表に呼ばないよう要請したことでこのツアーへの招集は見送られた。また、当初の招集メンバーから元セルタのアンドレス・トゥニェスが怪我、フラムのアモレビエタが移籍のゴタゴタで、アランゴの後継者的な存在であったオロスコがチーム事情によりシニョレッリ(エンポリ)と変更されたが、サンビセンテ監督が前日会見で「現時点でベスト」と語ったように中核となるべき選手は基本的に招集されている。
先日行われた韓国戦は相手GKキム・ジンヒョン(セレッソ大阪)のミスにより先制しながら終始劣勢を強いられ1-3と敗れている。しかし、日本代表もアギーレ体制の初陣で敗れているだけに、新体制の初勝利を目指す同士、熱い試合になることは間違いない。