◎取るか守るかはお好み次第
続いて、GLでの総得点の基にしたのが<図11>です。
ここでの分岐点は8得点です。それ以上のサンプル数が少ないのが難点ですが、7チーム中3チームがベスト4に残りました。今大会のGL得点数ではオランダが10得点でトップ、そして9得点のコロンビアと8得点のフランスがこれをクリアし、「攻撃力」で勝ち進む資質を持っているのが分かります。
ただ、4得点で15チーム中4チーム、5得点では19チーム中5チームが準決勝に進み、2006年は5得点のイタリア、2010年は4得点のスペインが優勝しました。なので、攻撃力が無いチームでも悲観する必要はありません。ただ、そんなチームが勝ち上がるには、別の要素との関係が重要です。
そして<図12>は、GLでの総失点数からの計算です。
まず、総失点が4点以上のチームは、過去14チーム全部が準々決勝までに敗退しているのが分かります。<図8>では失点の多いチームが1回戦をなかなか勝てないと分かりましたが、その先も守備力に不安のあるチームは勝ち抜けないのです。
そして、総失点が1点の17チーム中8チーム、47%はベスト4に進み、さらに5チームはファイナリストになりました。なぜかGLで3試合連続した4チームはどこも決勝に進めないというジンクスがありますが、それを入れても全体の約3分の1の「1失点以下」が決勝進出チームの半分を超える占有率になっています。
総得点で書いた、攻撃力がないチームでも勝ち上がれる条件も、この失点数です。
<図13>では、4得点の15チームと5得点の19チームを失点別に分類し、その準決勝進出率を計算しました。
4得点では2失点の2チーム(1998年クロアチア3位、2010年スペイン優勝)、5得点では3失点の1チーム(2006年イタリア優勝)がベスト4に残りましたが、合計で18チーム中3チームしか準決勝に進んでいません。4失点以上の9チームを合わせると、27チーム中3チームで確率11%という、<図10>の「GLで勝ち点5以下」と同じ厳しい条件になります。しかし、1失点の場合は5チーム全部が準決勝進出、0失点と合わせても7分の6で86%と驚異的な数字になります。
つまり、「点が取れないなら鉄壁のディフェンスで耐え抜く」、「守備型」のチームにもチャンスがあるのです。
では、このコーナーの最後に、成績別のGL勝ち点・総得点・総失点の平均値をまとめましょう。
2位が1位に敗れることの多いベスト16止まりのチームは、3つの数字がどれも他より悪いですが、勝ち点や総得点はベスト8以上から、総失点数は4位以上からはあまり大きな差が付かないのが分かります。ただ、優勝チームは勝ち点や総得点で一歩抜け出しています。その「爆発力」がGLから出せたチームが最後に笑っています。