ジョゼップ・グアルディオラは革命家だ。それを否定するサッカーファンは、恐らく世界中を見渡しても多くはないだろう。
彼はバルセロナで「ポゼッション・フットボール」という言葉を昇華させた圧倒的な攻撃力を誇るチームを作り上げ、「モチベーションを保つのが難しいほどに全てを手にしてしまった」との発言を残して、生まれ故郷から去って行った。その余波は凄まじく、遠くスペインから離れた日本においてさえ「バルセロナ風のフットボール」という言葉が日常的に使われているほどである。ポゼッションを中心として作り上げられたU-17日本代表が「バルセロナのようだ」と称賛されたように。
マンチェスター・ユナイテッドをCL決勝で葬り去った試合は、筆者にとって真新しく残る記憶だ。恐ろしいものを見ているような気持ちにすらなる決勝は、筆者の短い人生ではその試合に限られる。
今回は、CLのアーセナル戦1stレグで現在グアルディオラが率いているドイツの王者バイエルン・ミュンヘンが見せたアップを分析しつつ、一体彼が「新時代のフットボール」に何を見ているのかを、イングランドWatfordのU-15チームで指揮官を務め、FAエリートコーチにも選ばれているLouis Lancaster氏の分析を元に考察していきたい。
練習の手順
彼らの試合前の練習は、主に7段階に分類された。
1.ピッチを自由にジョギング。2人組でパスを回しながらジョギングする選手たちも見られた。GKはハンドリングの練習。
2.ペアになって短い距離での2タッチパス練習。GKはクロス処理の練習。
3.円形になり、指示に合わせてダイナミックに外側にダッシュ。GKはクロス処理を続ける。
4.2分間短距離のスプリント。コーチが立つ位置を変え、そこまでダッシュをする。
5.全体がロングパス練習を開始。ストライカー陣はフィニッシュの練習に入り、ロッベンは個人練習。ロッベンは、ショートパス後にターンしてダッシュを続ける。
6.4人の選手がロングボールを続ける中、残りがシュート練習に合流。ラームからのクロスに合わせる練習も開始。
7.サブ組がシュート練習開始。残りの選手達はスプリント。