現役時代はJリーグや国際舞台で得点を量産してきた元日本代表FW高原直泰氏(JFL沖縄SV・CEO)が、沖縄県のコーヒー畑で日々奮闘している。
先月25日から沖縄コーヒーの魅力を発信するメディア発表会『めんそーれ原宿!沖縄コーヒーフェス supported by NESCAFÉ』が東京原宿で行われており、5日に沖縄でコーヒー栽培に取り組む高原氏がサッカーと農業について語るトークショーが開催された。
ゲストに藤田俊哉氏(J2ジュビロ磐田スポーツダイレクター)、岡野雅行氏(関東1部南葛SC事業本部長)、中澤佑二氏(元J1横浜F・マリノス)ら元日本代表選手らが招かれ、MCのジョン・カビラ氏とともに会場を盛り上げた。
コーヒー畑でハードワークする毎日
高原氏がCEOを務める沖縄SVは、ネスレ日本株式会社、沖縄県名護市、琉球大などと共同で2019年から沖縄県初の大規模なコーヒー豆の栽培を目指す『沖縄コーヒープロジェクト』を始動。耕作放棄地の活用や農業の担い手不足解消を図りつつ、沖縄県産コーヒーを新たな特産品・観光資源を目指している。
高原氏自身もクラブの選手たちとともに農作業に従事し、コーヒー畑では南国の沖縄でも頭まで隠れる防護服姿で作業しているという。
「蚊がすごいんですよ。信じられないぐらい蚊がいるので、暑いですけど完全防備でやっています」
かつて世界の舞台で屈強なDFと渡り合ったストライカーが、いまはコーヒー畑で蚊と格闘する毎日を送っている。
また高原氏はコーヒー畑で農作業に取り組み、軽トラックで奔走する忙しい日々について「すごく手間がかかる。ハードワークですよ(笑)」と笑顔で語った。
高原氏は、コーヒー畑で働く選手たちに、作業内容の報告をするよう徹底している。そこには、将来的にサッカー以外の仕事をする選手たちのセカンドキャリアにつながってほしいという想いがある。
元日本代表のストライカーは「いまのクラブの状況で最大限いろんな考えを持って、クラブがやっていることをしっかり理解して、どう行動していくのかという部分を考えてできるような選手になってもらいたい」と、熱い想いを吐露した。
J3ガイナーレ鳥取で代表取締役GMを務めた経験もある岡野氏は、現在の高原氏の仕事ぶりを聞いて「まさかタカがこっち側に来るなんて。一緒にやっているときは、まったく思わなかったです」と驚いた様子だった。
現役時代にDFとして何度も高原氏と対戦した中澤氏は「あの高原ですよ。点を取ることにすべてをかけてきた高原が、まさかほかのプレーヤーを見て『こうしてほしいな』『ああしてほしいな』って言う側になるとは思わなかった。一生サッカーをやってそうな気がしたんですよ」と語った。
現役時代は磐田と日本代表で高原氏とともにプレーした藤田氏は「(高原氏は)もともと自分の仕事をシンプルにやる職人肌のイメージでした。点を取ることだけに集中するというところから、クラブのこと、選手のこと、スタッフのこと、あるいは農業のこと。多岐にわたって話題がいっぱいになって、視野がすごく広がったと思う。いいおっさんだけど、大人になったなと(笑)」と、磐田時代の後輩の成長を実感した。
リアルサカつく!沖縄SVと高原直泰が「沖縄産コーヒー」をネスレ日本と共につくる理由
高原氏の現役時代を知るファンは、コーヒーや農業、クラブについて熱く語るストライカーの姿を想像できないかもしれないが、現役時代にともに切磋琢磨した元選手たちはそれ以上に衝撃的だったようだ。
【Qolyインタビュー】J2ジェフユナイテッド千葉GKホセ・スアレス「毎日不安に襲われた」無所属期間を乗り越え日本一の守護神へ