試合の流れを変えるゴールキーパー

この日、千葉加入後初の公式戦出場となった若原は「会場の雰囲気が練習試合とは違うので、感じられて良かったです。背中で感じる声援というのは、本当に大きいものでしたし、『やってやるぞ』という気持ちになれました」とサポーターの目の前で、復活した姿を見せようと奮闘した。

千葉は立ち上がりから攻勢を強め何度も相手ゴールに迫ったが、長崎GK後藤雅明(まさあき)の牙城を崩せず。前半24分にMF山口蛍に決定機を作られるも、若原が勇敢な飛び出しでピンチを防いだ。

「ボールを背後に流されてから、1対1になるというのはイメージできていたので、山口選手が最後にワンタッチしたところで冷静にぐっと距離を詰めることができたのが良かった。練習試合でもプレーしていたので、そういった意味ではしっかりと(試合に)入れたと思いますし、落ち着いてビルドアップのところもできた」

1対1を防いだ若原(左)

若原はブランクを感じさせないプレーでゴールマウスを死守。しかしスコアレスドローで迎えた前半45分に、一瞬の隙を突かれた。

カウンターを受けた千葉は長崎MFマテウス・ジェズスの中央突破を許し、ボールは左サイドにいたFWエジガル・ジュニオへ渡った。同選手が左足で放ったひと振りはクロス性の軌道を描きながら、そのままゴール右側のポストに直撃してネットへ吸い込まれた。

若原は「中にマテウス選手がいたので、そっちに(ボールが)上がってくるんじゃないかなという自分の予測が強すぎた。エジガル選手に対して、もっと集中して対応していれば、僕自身も(ボールを)かき出すことができたかもしれない」と先制点を許した。

後半も長崎は堅守で千葉のアタックを守り切り、ゴールを割らせなかった。同27分には長崎MF松本天夢(てんむ)に痛恨のヘディング弾を許し、0-2で試合は終了した。

落ち着いたビルドアップを披露した若原

若原にとって「あっという間の90分」が終わった。

復帰戦を終えた守護神は悔しさを口にしつつも、すぐさま次を見据えている。

「上(スタンド)から試合を観る回数が増えて、チームがいいときも悪いときもいろいろな刺激をもらっていました。自分がピッチに戻ったら、プラスに働くようにやろうとイメージしていたので、勝ちを持ってこられなかったのは悔しいです。

誰が(試合に)出ても勝点3を持って帰ってこれれば一番いいと思っていますし、それが僕であったらベスト。いい練習をして、いい準備をしたいと思います」

チームメイトを鼓舞する若原

次節は19日午後4時から茨城県のケーズデンキスタジアム水戸で水戸ホーリーホックと対戦する。

出遅れたが、ここから巻き返す。

「改めて、ゴールキーパーの力はすごいと思った。キーパー目線ですが、1点を決められるというときに相手の後藤さんが止めていて、それが試合の流れを変えるとすごく感じました。あれだけキーパーが止めてくれると、勇気づけられる」と若原は、この日好セーブを連発した古巣GKを引き合いに出した。

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大一番は続く。若原は次節こそ自分の力を証明する。

(取材・文 浅野凜太郎、写真 縄手猟)

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