古巣戦で起きた自滅

一つのミスから流れを失った。

後半3分にビルドアップの場面でGK吉田舜がボックス内からMFゼ・ヒカルドに縦パス。この瞬間を狙われた。

激しいチェックを受けてボールを失うと、ゴール前でパスを受けた鹿島FW鈴木優磨がディフェンダー二人を引き付けてワンタッチパス。最後は背番号40の落としに反応した鹿島FWチャヴリッチがシュートを突き刺した。

失点シーンをサイドから見ていた藤井は「苦しかった」と、しばらくその場から動けなかった。

「思い入れのあるチームに対して戦えていたと思いますが、自滅してしまいこういう結果を招いてしまったのは、やっぱり悔しかった。あれ(1失点目)はチームで招いたという捉え方もありますし、厳しく言うと起こさなくていいプレーだったと思う。そこは個人、個人が振り返らないといけないところだと思います」と厳しい口調で語った。

先制点を取られた湘南は、ここから主導権を渡した。

後半10分にコーナーキックの流れから追加点を許すと、同23分には左サイドでのボールロストからカウンターを受けて、試合を決定づける3失点目を奪われ、そのまま0-3で敗戦した。

鹿島時代の藤井

「勝たないといけない内容だったと思う。これは出ている選手たちの責任で、戦術どうこうの話じゃない。試合に出ている選手が本当に集中してやらなければいけないですし、自分自身も『簡単に!』という言葉をかけないといけなかった。

でも、あそこで決め切る相手チームの力は本当にうわてでした。やっぱり、こういうチームは強いですね。悔しいですけど」と大好きなスタジアムで辛酸をなめた。

次節は今月20日午後5時から愛知県の豊田スタジアムでJ1名古屋グランパスと対戦する。

試合後、遠方に駆け付けたアウェイサポーターはチャントで選手たちを鼓舞。一方の鹿島のゴール裏は挨拶にやって来たサイドアタッカーを拍手で見送った。両クラブの想いを背負った藤井は、J1残り9試合での活躍を誓った。

「ここはやっぱりいいスタジアムだし、いいチームだなと思いました。チームメイトもいい選手たちだったので、だからこそ勝ちたかった」と、湘南はリーグ戦13試合未勝利と苦しい状況が続く。

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それでも藤井は「湘南が好きなので、このチームのためにできることを最大限やりたい。このチームとサポーターが本当に好きですし、その人たちがガッカリしているのは嫌です」と愛するクラブを残留に導く。

(取材・文 浅野凜太郎)

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