世界的名門クラブ出身選手としのぎを削る日々
トライアウトで数十校の大学からオファーを受けた種田は、全米屈指のサッカー名門校マーシャル大へ入学。
同大を選んだ理由について、「(マーシャル大の)サッカーのレベルは全米でトップを争うレベルです。トップレベルの選手が集まるので、そこが魅力的でした。日々の練習の中で成長できる環境があります。
それと、ほとんどのアメリカの大学は日本のプロ以上に環境設備が整っていて、マーシャル大もかなり環境がいい。特にこの大学はサッカー部が強いので、大学がいろいろな投資をしてくれています。
あとはオファーの内容が良かったです。授業料が無料だったり、寮や食費など、生活のバックアップをしてくれる体制が整っていました。ほかの大学からもいい条件をいただきましたが、その中でもマーシャル大が特に良かったですね」と語った。
昨夏にマーシャル大サッカー部へ入部したチャンスメイカーは、日々レベルの高さを実感しているという。
アメリカの大学サッカーは、全米チャンピオンを狙う名門校ともなれば、世界各国から優秀な人材をスカウトしている。
過去には、プレミアリーグの名門マンチェスター・ユナイテッドの下部組織出身である元U-21イングランド代表FWジャック・ハリソン(プレミアリーグ・リーズ)が、アメリカのウェイク・フォレスト大でプレーした。同選手はその後、MLSニューヨーク・シティからドラフト指名を受けてプロデビュー。2018年からは母国に戻り、現在もプレミアリーグの舞台で戦っている。
マーシャル大も、レアル・マドリーやアトレティコ・マドリー(以上スペイン1部)、シャルケ(ドイツ2部)、フラメンゴ(ブラジル1部)など、世界的名門チームの下部組織出身者がポジションを争う。
それでも同大は昨季、全米王者を決めるNCAA D1全米チャンピオンシップの決勝でバーモンド大に敗れて涙を飲んだ。
世界中の名門チームで育成された選手が集う環境は、種田に思わぬ縁をもたらした。
今年からマーシャル大サッカー部に入部した前レアル・マドリーCのスペイン人FWダヴィド・デ・ラ・ヴィボラとは特に仲がいいという種田。
「自分はレアルから来たデラと仲が良くて、ご飯もよく行きます。この前、僕が日本のカレーライスをつくりました。中井卓大(たくひろ、MF、スペイン5部レガネスB)くんがデラにつくってあげていたみたいで、『同じものをつくれる?』と言われました。『つくってあげるよ』と言ったら家に来ました。だから(中井選手は)多分、僕のことを知っていると思います」と、意外なつながりを紹介した。
種田はマーシャル大卒業後、JリーグかMLSでプロデビューするイメージを持っているという。将来的には欧州5大リーグでの活躍が目標だ。
「将来的にヨーロッパ5大リーグでプレーできたらいいと思います。自分のプレースタイル的にはスペインのサッカーが合うかなと。でも、5大リーグで活躍できれば、自分を一番評価してくれるところに行きたいです」
種田が近い将来にスペインへステップアップできれば、まだ直接会ったことはないという中井との共演も実現するかもしれない。
また20歳のMFは、サッカー選手としての成功を目指しながら、毎週大学の講義に参加してスポーツビジネスを学んでいる。「昔からビジネスには興味があった」と言う種田は、現役引退後は“商業大国”アメリカで得た知識や人脈を生かしたいと考えている。
今後のキャリア設計をしっかりと見据えている聡明な同選手だが、まだやり残したことがある。
最終項では、種田が古巣・大宮で歩んできた軌跡と、今季の目標について語った。