残り11回の決勝戦

負傷の影響などもあり、思うような出場機会を得られなかった千葉の背番号99は、悔しさを抱きながらチームの躍進を見守っていた。

「チームを客観的に見ていますと、非常に闘争心というか、戦う集団という印象を受けています。実際に自分がプレーをしてみて、その通りのチームだと肌で感じました」

ケガの影響で思うような結果やプレーをできず、いら立ちを覚えた日もあった。それでも今季2位と躍進するチームから活力をもらっていたという。

「ケガが続いてしまったので、長い期間試合に絡むことができていなかった。チームの力になれていない。悲しい気分というか、フラストレーションがたまりましたけど、闘争心があるチームで戦っている仲間を見て、彼らのために、チームのために戦いたいと思っています」と言葉に力を込めた。

ここから活躍するビジョンは見えている。これまで悔しさを押し殺しながらも、トレーニングに励んできた。

ゴール前で存在感を見せたデリキ(左)

ブラジル人ストライカーは「自分のプレーの特徴の推進力は、きょう少ない時間でしたけど、見せつけることができたと思っています。 自分にとって一番足りないものは、試合に出続けること。試合に出続けることによって、試合の感覚、ボールが転がり込んでくる感覚、ペナルティエリア内での勝負所や嗅覚が研ぎ澄まされると思っています」と自身の長所を生かし、チームに足りなかった攻撃オプションとして貢献する構えだ。

リーグ戦は残り11試合と終盤戦に入りつつある。これまで16シーズンに渡ってJ1復帰を逃してきたチームは、この好機を逃すわけにはいかない。デリキもまた、今季こそ戻るべき場所へチームを導こうと覚悟を決めている。

「僕たちは1戦、1戦を決勝戦のつもりで戦っています。残り11回の決勝戦を戦うつもりでプレーします。(チームは)クオリティのある選手がそろっている。そしてみんな犠牲心を持ってチームのために戦っている。そのような顔を持ったチームなので、必ず昇格は成し遂げられると思っています」と力強く言い切った。

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チームは敗戦したが、デリキが新たな可能性を見せた。ここで止まるわけにはいかない。30日午後7時にホームで開催される次節ヴァンフォーレ甲府戦を皮切りに、残り11試合の決勝戦を制して戻るべき場所へと帰還してみせる。

(取材・文 高橋アオ)

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