“福井コール”に複雑な感情「結果を背中で示す」

この日フル出場を果たした福井は、試合後のミックスゾーンで悔しさをにじませた。前回大会では、筑波大の主将としてチームを統率し、Jクラブ相手にジャイアントキリングを達成して3回戦まで勝ち進んだ。

きょうは逆の立場となって天皇杯に臨み、難しさを感じた。

「去年まで一緒にやっていた選手たちを相手にすると嫌だなと。きょうは相手になって(それを)感じて、それでもやらなくちゃいけないところもあって、本当に勝ちたかったという思いが強かったです。やりづらさはもちろんありましたけど、それは言い訳に過ぎません。プロとしての意地を見せられなかったことが一番悔しいです」と唇を噛んだ。

きょうの試合では、母校の後輩と火花を散らした福井(写真中央左)

大宮はこれでルヴァンカップ、天皇杯で敗退となり、ポジション確保のために実戦でアピールをしたい福井にとって苦しい状況となった。

大宮の若きDFは「ルヴァン(カップ)も終わって、天皇杯も終わってしまったので、残り22試合にすべてをかけるしかない。現状、自分はリーグ戦で1試合も出られていないので、自分自身に鞭を打って、スタメン組に食ってかかっていけるように、一日、一日の練習や練習試合、すべてをかけてやっていきたいと思います」とカップ戦敗退を悔やみつつも、できる範囲で全力を尽くしてポジション奪取を狙うと誓った。

筑波大との試合に出場し、懸命にボールを追いかける福井(写真手前右)

この試合後、天皇杯敗退に肩を落とす福井に、母校の応援団は『福井コール』を送って激励した。

それを耳にした同選手は「あれは響きましたね。悔しさもあったし、懐かしさもあったし、いろんな感情がこみあげてきました。でも、うれしかったですね。ああいうふうに自分を応援してもらって。今後はプロの世界で活躍して、結果を背中で示すことが(できれば)いいのかなと思います」と意気込んだ。

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母校の期待を背に、大宮のルーキーが自らの真価を証明しようと闘志を燃やしている。

(取材・文・写真 縄手猟)

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