世界に誇れるサポーターと再びJ1へ

前半38分にはペナルティキックのチャンスを献上するも、GK林彰洋(あきひろ)がゴール左側への横っ飛びスーパーセーブで見事ストップした。

窮地(きゅうち)を救った守護神に応えようと、イレブンは躍動。井上らディフェンス陣は鋭いインターセプトで攻撃の芽を摘み、カウンターにつなげた。

仙台は前後半を通じて計14本ものシュートを放ったが、惜しくも得点は奪えず。それでも、千葉に対して被シュート1本に抑える堅守を披露し、実力の一端を示した。

試合はそのままスコアレスドローで終了。2試合ぶりの勝利とはならなかったが、首位チームに対して見せた好プレーに仙台サポーターは拍手を送った。

大宮戦での仙台イレブン(写真・浅野凜太郎)

クリーンシートに貢献した背番号44は「全員が前回負けたことをすごく悔しがっていた。自動昇格圏内(2位以上)に入るためにも、特に上位対決は落とせない。そういう意味では、勝てなかったことは悔しいですが、最低限だと思います」と一定の評価を下しながらも、勝利に飢えている。

試合後、森山監督は「『ベガルタは死んでいないぞ』と示すには、十分の試合だったと思います」とイレブンの健闘を称えるともに、前節に引き続き大声援を送ったサポーターに感謝した。

大宮戦後の森山監督(写真・浅野凜太郎)

「選手たちもあのエールが響いたと思いますし、世界に発信できるくらいのすばらしいもの(応援)だった。僕らのサポーターは負けたときにこそ、『俺らも苦しいときには横にいるぞ』という応援をしてくれるんです。

僕らだって負けたら、(気持ちが)沈んではい上がってこれないんじゃないかというくらいに落ち込む。そんなときに、仲間たちへ向かって『何をやってるんだ、てめぇ』と言うのは違うと思う。海外ではその風潮がありますが、だからこそ違う文化を仙台から世界へ発信していけたら、すばらしいと思います」と、杜の都のクラブは、5シーズンぶりのJ1復帰に向けて再び前を向いた。

次節は25日の午後1時にアウェイのハワイアンズスタジアムいわきでJ2いわきFCと対戦する。

大宮戦でも奮闘した井上(写真・浅野凜太郎)

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仙台のディフェンスラインを支える井上は「応援の声は本当にすごい。前半も後半も聞こえていましたし、本当にそれがパワーになってプレーできたので、感謝しかありません。次のアウェイのいわきも(サポーターが)いっぱい来てくれると聞いているので、絶対に勝ちたいと思います」と、地元宮城県が世界に誇るサポーターへ、3試合ぶりの勝利を届けてみせる。

(取材・文 浅野凜太郎)

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