福岡時代に予想していた冨安健洋の日本代表入り

2014年9月に浦和アカデミーを退団した邦本は、2015年1月2日に福岡へ入団。同クラブでレフティは、所属した3シーズンで公式戦33試合4得点3アシストを記録し、日本代表DF冨安健洋(プレミアリーグ・アーセナル)とともに将来を期待されていた。

ーー浦和を退団して福岡に入団するまで、約4カ月ほど期間が空きました。その期間はどのように過ごされていましたか。

「(浦和を)やめてすぐの1カ月は北九州の海でずっと釣りをしていましたね(笑)。

一応、高校は卒業しないといけないということで通信(高等学校通信教育)に通い始めました。午前中に学校へ行って昼に終わるんですけど、ぜんぜん行ってなくて、友達と遊んでいました。結局2カ月ぐらい経つとボールに触りたくなりました。公園で友達とボールを蹴っていたときに、たまたまいまの代理人が家に来てくれて『いまアビスパ(福岡)から話があるから、もう一回サッカーをやらないか』と言われました。一度は断りましたが、ずっとサッカーをやっていたので『もう一回サッカーを頑張るしかない』と思って、アビスパ(福岡)入団を決めました」

ーー福岡では、日本代表の冨安選手とチームメイトでした。日本代表やアーセナルで活躍されてるいまの姿を見て、率直に感じることは。

「当時から『絶対に(日本代表に)行くだろうな』と思っていました。これは上から言っているわけではなくて、トミ(冨安選手のニックネーム)は、突出してすごいところがある選手ではなく、総合的な数値が全部高いんですよ。何でもできるというか。努力もすごくしていて、いまはちょっとオーバーワークのせいでケガが続いてしまっているんですけど、そういう(彼の)姿を見て『絶対にトミはヨーロッパで活躍するだろうな』と思いました」

福岡で邦本ともにプレーした日本代表DF冨安(右)

韓国へ行くまでの7カ月間…「サッカーだけが人生じゃない」

福岡では現在日本代表として活躍する冨安のポテンシャルの高さを肌で感じた天才レフティ。

だがその後、冨安が欧州へ活躍の場を移した一方で、邦本は福岡を契約解除で退団した。

Kリーグ2(韓国2部)の慶南(キョンナム)FCに入団が決まるまで、約7カ月間の無所属期間を経験した。

アビスパ福岡時代、J1柏レイソル戦で得点を挙げた邦本

ーー福岡退団後、韓国の慶南に入団されます。入団が決まるまでの7カ月間は無所属の状態となりますが、この期間はどのように過ごされていましたか。

「そのときはバイトみたいな感じで、自分のお父さんがやってる仕事を手伝っていました。そのときも、最初の1カ月くらいはボールを触らなかったと思います。(父の仕事は)建設業なんですけど、そんなに長い間したわけではないです」

ーー当時は、サッカーをしていない状況に焦りを感じましたか。

「焦りは全然なくて、もしこれで(サッカー選手としてのキャリアが)終わるなら仕方ないなと。サッカーだけが人生ではないと思っているので、『もしダメだったら別の人生を頑張ろう』と思っていました」

ーーいつか再び日本、Jリーグでプレーしたいという気持ちはありますか。

「そうですね。最後は日本で引退できたらいいなと思っています」

次項では、真の実力を証明したKリーグ時代について深堀する。

同リーグでの圧倒的なパフォーマンスの裏には、自身のマインドの変化があったという。