泣きそうになった半年間を乗り越えた先に
小松は泣きそうになった半年間を過ごしたという。秋田が先月11日にオフィシャルYouTubeチャンネル上にアップロードしたドキュメンタリー動画で昨季入団当初から夏まで苦しい半年間を過ごしたと明かした。
秋田の背番号10は「僕自身はゴールを取ることが生きがいなので、取れないことが一番つらかったですね。 試合に出ていても点を取るイメージが湧かないというか、そういう時期があったので、なかなかきつかったです」と打ち明けるように、昨季前半戦は公式戦2得点(リーグ戦1得点、Jリーグ杯1得点)と苦しんだ。
2019年にU-22日本代表に選出された大型レフティーは、2023年シーズンJ3松本山雅FCでリーグ戦36試合19得点で自身初のJ3得点王に輝いた。その実績を引き下げてのステップアップ移籍を果たした秋田では、期待通りの活躍をなかなか見せられなかった。
思い出したくもない苦しい期間に思えるが、ストライカーはその期間がいまの自分を作ったと胸を張る。
「僕にとっては重要な半年間でした。もちろんその半年もうまくやれたら理想でしたけど、簡単にはいかなかった現実でした。 ただそこでまったく下を向かなかったし、向きかけたときもありましたけど、『より成長しよう』というモチベーションが高かったので、1個(壁を)乗り越えられたかなと思います」
時間の経過とともに自身のコンディションが向上し、味方との連係も徐々に噛み合っていった。昨年9月14日に、開催されたJ2第31節ジェフユナイテッド千葉戦でゴールを挙げると量産体制に入り、最終的にはリーグ戦38試合6得点を挙げた。シーズンをまたいでリーグ戦7試合連続得点(今季のみでは5試合連続得点)を挙げた点取り屋はチームに必要不可欠な存在として君臨している。
目標はリーグ戦40得点を掲げる小松は現状に満足していない。
「あまり得点王になろうと考えてはいませんけど、1試合に1点を取って、年間40ゴールを取れるストライカーになることを目標に掲げています。40ゴールを取って、それ以上のストライカーがいればしょうがないなと思いますけど、40ゴールくらい取ったら必然的に(得点王に)なっているのかなと感じています」と、ストライカーは自分自身の可能性を信じている。
次節は13日午後2時にホーム・ソユーススタジアムでRB大宮アルディージャと対戦する。
「きょうは結果論ですけど、1点(先に)取れていたら僕らのゲームになるんじゃないかなと思いました。ただ結果的には負けてしまったので、僕らのやり方を変えずに、自分を見つめ直して点を取れるように前を向いて頑張ります」と背番号10は言葉に力を込めた。
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松本でたくましく育ち、秋田で花開いたいま売り出し中の点取り屋に慢心の文字はない。壁を乗り越えた男は自分自身の可能性を信じ、目標に掲げるリーグ戦40得点を目指して着実に結果を積み重ねていく。
(取材・文 高橋アオ)