サポーターの想いを知った負傷期間
昨年6月に左アキレス腱断裂の大ケガを負い、悲願の実戦復帰となった鈴木。8カ月にも及ぶリハビリ生活を乗り越えた主将の存在は千葉のディフェンスラインに安定をもたらした。
受傷前と見間違えるような力強いヘディングやリーダーシップでチームをけん引。攻撃ではロングパスでリズムを生み出し、2-0の勝利に大きく貢献した。
帰ってきたキャプテンは「この結果は本当に大きい」としつつも、すぐさま「まだ慢心するには値しないと思います。きょうも3得点目を取れませんでしたし、後半になって押し込まれた部分は反省する必要があります」とチームの課題を挙げた。
1月に行われたトレーニングキャンプでは練習メニューをすべて消化できなかったというが、ホーム開幕戦に照準を合わせてきた。鈴木はこれまでの長いリハビリ生活を思い出し、「正直、アップのときから震えちゃいましたね」と支えてくれた仲間たちとサポーターへの感謝を口にした。
「ケガしている間、ずっとサポーターの目線で試合を観られました。自分はアウェイにも帯同していて、移動で隣の席にサポーターがいたり、同じホテルに泊まったり、同じ風呂に入っていたんです。
そういうときに、『(復帰を)待っています』と直接声を掛けてもらっていました。お金を払ってアウェイまで来てくれる人の気持ちとか、サポーターがどれだけ熱い気持ちで応援しているのか近くで見てきて分かったので、すごく勇気をもらえた。だからこそ、『そこ(ピッチ)に絶対戻るんだ』と思ってやってきましたし、みんなからの『復帰を待っているよ』という声でリハビリを頑張れました」
ケガをしていた鈴木にとって、アウェイへの帯同は自費だった。それでも「リハビリのモチベーションになるから」とチームを影で支え続けた主将は、17季ぶりのJ1復帰へ燃えている。
10シーズンぶりの開幕連勝を果たした千葉は昨季の最終節で敗れたモンテディオ山形と来月1日午後2時からホームで次節対戦する。勝利すればクラブ史上初の開幕3連勝となる一戦だ。
「 積み上がっているものがあると、自分たちは信じている。これまではなかなかスタートダッシュを切れなかったですし、(開幕連勝は)自分がここに来てから初めてのことなので、このチャンスは生かさなければいけない」とサポーターに勝利を届けたい。
フクアリで堂々のカムバックを果たした鳥海と鈴木。帰ってきた男たちが、千葉を本来いるべきJ1の舞台へと戻してみせる。
(取材・文 浅野凜太郎、写真 Ryo)