中村俊輔の原動力となった横浜FMレジェンド選手
中澤氏を一目見ようとイベントには多くのファンが集まった。「佑二ー!」と歓声が起こる中、中澤は写真撮影やサイン対応に応じるほか、積極的にコミュニケーションを交わし、会場は笑顔に包まれた。
――ファンとの交流はいかがでしたか。
「楽しかったですね。引退してから、6年ぶりくらいにファンの方と触れ合いました。そもそも僕は現役のとき、ファンサービスをしなかった方なんです。プロとして20年間やってきた中で、きょうの方がファンサービスをしていますよ。
それでも変わらずにマリノスを応援してくれていると分かって、うれしくなりました。ほとんど見たことのある方で、『いつも来てくれる人たちだね』という感じでした(笑)」
――現役時代に中澤さんはヴェルディ川崎(現・J1東京ヴェルディ)や横浜FMでプレーされていたと思います。今季の両チームについてはどのような感想を持っていますか。
「ヴェルディはもう違うチームですよね。そもそも練習環境も僕のときとはまったく違うし、みんなサッカーがうまいうえに、城福さん(城福浩監督)のもとでハードワークをしなければいけない。
当時は違った。圧倒的な個の技術とか能力で勝負するサッカーでした。そこからJリーグ自体も変わってきて、いまはとにかくハードワークができないと駄目ですよね。そこに関してヴェルディは若い選手も多い中で、いろいろな選手たちを城福さんがうまくチームマネジメントしている。走らないといけないから、選手は大変だろうけど、非常に面白いと思います」
――横浜FMはどうですか。
「マリノスに関しては失点を減らさないといけない。マリノスの調子がいいときは、前線からの守備がハマって、押し込む展開が増えたときだと思います。マリノスは押し込む展開を続けるために、相手に息をつかせる隙もなく、どんどん攻めている時期が強かったと思う。そのサッカーをやるためのメンツをそろえるのか、それともいまのメンツでやり方を変えるのか…。
リスクのあるサッカーをやっている中で、マリノスは外国人選手たちをどのようにマネジメントしていくかが大事だと思います。全員が攻撃に絡むサッカーをしたいなら、全員が守らないとどこかに穴が生まれてしまう。
その穴を埋めるために、ロペス(FWアンデルソン・ロペス)のように点を取ってくれる選手にも守備をしてもらうのかなど、いろいろなことを考えてチームとしてうまく回していかなといけない。調子のいいときに新しい監督(ハリー・キューウェル元監督)が来て、チームのスタイルと自分の色のせめぎ合いがあったと思います。1番難しいんですよ。サポーターも勝って当たり前だと思っていたはずですし、監督も精神的に大変なシーズンだったと思います」
ーーチームにはいろいろなキャラクターがいる中でマネジメントしていく必要があると思いますが、印象的な外国人選手はいますか。
ドゥトラ(アントニオ・モンテイロ・ドゥトラ)ですね。すごく真面目ですし、40歳までプレーしたドゥトラのおかげで、俊輔も『40歳まで頑張ろうと思えた』と言っていました。
先輩だけど、サイドバックとしてものすごい走り回っていた。練習でも頑張って、食事も気遣っていましたね。マックとかを途中でやめて、アスリート向きの食事に変えたらパフォーマンスが伸びたという話もしていました。彼のようなベテランの選手がやっていることを、自然と若手は見ていると思いますし、僕も参考にしていました」