F・マリノスは後手に回る試合をしたことで良さが消えてしまった印象があった。
前半はボール支配率を相手に上回られ、自分たちのペースに引き込めず。ウイングのヤン・マテウスとエウベルのところには常に2人以上がチェックに来る状況。ウイングが潰れ中央突破を図ったが、井出や扇原らが作る硬いブロックに阻まれなす術なし。完敗であった。
ニューカッスル戦で鮮烈なデビューを飾ったジャン・クルード、対人での強さが光る畠中慎之輔がいるセンターバックの中でこの試合もスタートは上島拓巳とエドゥアルドをチョイス。
ただ中盤の層が厚く、前回の対戦でもウイングのところで勝負がしにくかった分、センターバックがいかにビルドアップの部分で形を作れるかがポイントであったが、サイドバックをはじめハイプレスをかける神戸の守備の前にミスを重ね、安定感を欠いた。
今シーズン序盤戦からビルドアップに課題を残していた両センターバックであったため、神戸のような対戦相手の時は、ACLEに向けて温存しておきたいはずだが、足元の技術もあるジャンや畠中を起用し、ゲームメイクを任せるなどの戦術も必要だ。
持ち味であるハイプレスもこの試合では見られる場面は少なかった。トップから強度の高いプレスをかけることで相手のミスを誘うF・マリノスのアタッキングフットボールに欠かせない戦術であるが、アンデルソン・ロペスがプレスに行かないことでその戦術が役割を果たさなくなっている。
ロペスを起用するなら彼を前に残し、ウイングも下げ切ってハイプレスの戦術をなくし、4-5-1のような形で引いて守るのがベストだ。ただ、その分攻撃はポゼッションではなくカウンター重視になることは確実であり、積み上げてきたポゼッションサッカーが崩れてしまう。
ならば、ロペスをベンチに置き、西村をスタメンで起用し、スタミナが豊富な彼のスピード感のあるハイプレスを行うのがベストか。ただ、ここまで14ゴールを記録しているロペスを外すことは攻撃の厚みが減るリスクを伴う。
この部分も加味してジョン・ハッチンソン監督がこの先どのような戦術を取るのかに注目が集まる。
神戸は次戦8月17日にホームでガンバ大阪と、F・マリノスは同日アウェーで川崎フロンターレとの神奈川ダービーに挑む。