佐野の新聞報道は確度が高い

――佐野選手の性加害報道についてはどのように捉えていますか。

あの記事は情報の信ぴょう性が非常に高いと思います。新聞社の初報を読んだ段階で佐野選手がほぼ確実に逮捕されたと分かりました。

――なぜそう判断されたのですか。

まず各新聞社、通信社、テレビ局は警視庁の記者クラブ(公的機関などの各組織の取材を目的とする大手メディアが中心となって構成されている任意組織)に加盟しています。

加盟社は警視庁から逮捕情報などを提供してもらえますし、警察との信頼関係も他のメディアと比べたら圧倒的に強固です。初報を報じた新聞社は記者クラブに加盟していますし、捜査関係者から情報を聞いたと明記しているので情報の確度が高いと思いました。

――他に当該記事の信ぴょう性が高いと感じた部分はありますか。

まず、端緒(警察がどのようにして事案の発生を知ったかの糸口)がしっかり書かれています。被害女性の110番で覚知(消防機関や警察が火災や事件などを認知すること)したと分かるので、これは警察関係者しか知り得ない情報です。その部分が明記されているから、警察関係者しか知り得ない情報を警察関係者に取材して情報を得たという証明になります。

他にも被疑者(容疑者)の詳細、犯罪行為が行われた場所、犯行の内容、逮捕の経緯も書かれていますから、どれも警察関係者しか知り得ない情報なので警察関係者を取材していることが分かります。

――テレビ局も後追い報道していましたね。

そうですね。それも続報が出れば出るほど、情報が深掘りされています。そのため佐野選手が逮捕されたことはほぼ確実ですし、テレビ番組の続報で弁解録取(逮捕された被疑者の弁解を聴く手続)で被疑者の認否(事実を認めるかどうかの返答)を明らかにしているから、警視庁の警察官に佐野選手が逮捕されたことは間違いないですね。

――そうなると佐野選手は性加害をした可能性が高いことになりますか。

それは言い切れませんね。あくまで記事を読んだ上での話でいうと、警視庁の警察官に佐野選手を含めた3人の被疑者が性加害による疑いで逮捕されたことは分かります。ただ逮捕段階は推定無罪ですから、本当に犯罪行為を行ったかどうかは裁判で明らかになると思います。

そもそも起訴(検察官が裁判所に対し、特定の刑事事件について審判を求める意思表示を内容とする訴訟行為)されるか現時点では分からない事案ですから、性加害の可能性については推定無罪ですからコメントできません。