フィジカルを理解しなければ監督は務まらない
――例えばスプリントの強度や、過密日程の負荷などを見るのでしょうか。
負荷のかけ方やポジション別に分けたトレーニングのお手伝いをしていましたね。
――フィジカルコーチを約10年間続けられました。フィジカルコーチで得た見識や経験は現在の監督業に生きていますか。
監督になってから、フィジカルコーチの考え方を理解していないと「なんでそういう負荷のかけ方でコントロールするのか」、「本当は監督として選手を出したいんだけど、まだコンディションが整っていなかったから再発防止のために出さない」とか、理解しているのと、していないとでは全然違います。
逆に、そこを理解しないとリハビリの状態やコンディションがあまり上手くいっていないのに、試合で使ってしまってまた(ケガが)再発してしまったりと…。そういうケースもあったと思う。だからそういったケースを見ていた中で、やはりフィジカルを理解してないと監督も務まらないと考えています。
――例えば選手に負荷をかけてしまって、フィジカルコーチ、トレーナーが止めてるのにもかかわらず、監督から「根性で行け」と言われて選手が前十字靭帯を損傷したケースなどを耳にしたことがあります。現在はどうなのでしょうか。
いまはそれがなくなってきたと思いますよ。各クラブにフィジカルコーチはいますし、そういった知識を持ったコーチ、トレーナーが多くなってきていると思います。あとは指導者講習会の中で、そういう(フィジカル)も含めたカリキュラムがあります。監督になられる方は、そこ(フィジカルの知識)は理解していると思いますけどね。
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次回は鹿島監督時代のマネジメント、クラブワールドカップの戦いなどを振り返る。