「選手自身が自分を評価する」ことの重要性
――近年では海外の女子サッカーもDAZNで見られる時代になりましたが、選手の意識などに変化は感じますか?
私はあまり女子のサッカーを見ないのでわからないですね(笑)。やっぱり男子の方を見てしまうので。イングランドやチャンピオンズリーグの試合も放送されていますけど、それなら普通にJリーグの方に行っちゃいます。
男子か女子かではなく、自分も現役時代は『メッシみたいになりたい!』と思っていたので(笑)。女子が女子のマネをしなければならないわけではないですからね。
――確かにそうですね(笑)。WEリーグが創設されたり、海外に移籍する選手が増えたりと日本の女子サッカーが進歩しましたが、なでしこリーグでプレーする選手の意識は変化しましたか?
やっぱりうまい選手は増えていますね。でも、うまいからといっても通用しないことはありますし、技術的にうまいだけでは意味がないところもある…というイメージはありますね。対戦している相手の逆を取るようなプレーをしたほうが面白いのに、と感じることはあります。ただ、正直に言えばあまりわからないですね(笑)。
というのも、選手の評価というのは、結局「自分たち自身がどう感じるか」だと思うんです。それは私が評価することじゃないなと。
私たちがワールドカップで優勝したときも、ノリさん(佐々木則夫監督)がいましたが、別に監督のためにプレーしていたわけじゃない。自分たちが『女子サッカーのために』と思ってサッカーをしていましたし、選手が自身で考えて試合をやっていただけなんです。
なので、いちばん重要なのは「選手自身が自分たちを評価すること」じゃないかなと思っているんです。海外に行きたい選手は行けばいいですし、WEリーグの選手のプレーを参考にするかどうかも自分たちで決めればいい。
冷たいと思われるかもしれないですけどね(笑)。でも、選手自身がそれから何かを感じてくれれば嬉しいですし、その自分が感じたものから行動することが大事だと思うんですよね。
――ある意味すごく深いですね。情報が溢れている時代だからこそ、自分自身が感じたことを大事にするというのは、サッカー選手にとってもできそうでできないことだと思います。ありがとうございました!
突き放しているように思われるかも…と言いながらも、非常に選手の立場に寄り添った「評価コメント」だった。2019年に現役を引退したばかりとあって、監督になってもプレーヤーとしての気持ちを大事にしているようだ。