頼れる兄貴分と愛嬌のある弟

2021年にフィリピン代表に招集されたタビナスは、現在まで13試合に出場した。チームには多様な国籍を持つ選手が多く、ドイツ、スペイン、イングランド、フィンランド、デンマークと国際色豊かだ。

その中で日本にルーツを持つ佐藤大介、嶺岸光(2023年引退)は代表活動に参加する上で頼りになる存在となったという。

佐藤大介

――フィリピン代表の佐藤大介選手は代表チームに入ったらレベルの高さに衝撃を受けたみたいですが、そういう経験はありましたか。

僕はゲリット・ホルトマンという浅野(拓磨)さんと同じブンデス1部ボーフムでプレーして、トルコへ行って、いまブンデス戻ったのかな(※2024年にローンでダルムシュタット加入)。ドイツ1部でバイエルン・ミュンヘンから点取ったりしているんですけどね。

その選手はウインガーなんですけど、速いし、シュートが上手い。走りたくないときはうまくサボるからズル賢い。そういった点はめっちゃ上手いと思いましたし、衝撃を受けましたね。

嶺岸光(右、白)

――フィリピン代表には佐藤大介選手、嶺岸光選手と日本語話者もいます。彼らはタビナス選手にとってどのような存在ですか。

僕が初めて大さんと会ったのは、いつだっけ(笑)。忘れちゃうくらい仲良くしてもらっているんですけど、大さんでいったら「ザ・陽キャラ」みたいな(笑)。二人とも頼りになる兄貴たちって感じですね。「何かあったら何でも言って来いよ~」みたいな感じですね。大さんはいまもすぐ何かあったら連絡します。

ピカ(嶺岸光の愛称)も引退しちゃったけど、フランクな方です。俺が活躍したら「ナイス!」と言ってくれるんですよ。お兄ちゃんたちと接している感じですね。1、2週間ずっと英語を喋ってる中、日本語で話ができると「あぁ、安心するなあ」と思います。

サッカーでいったら大さんはやりやすいです。あの記事(※Qolyの佐藤大介インタビュー)読んだんですけど言ってくれたじゃないですか。「(タビナスとは)日本っぽい守備がちゃんとできる」と。国によって守備の仕方が若干違うけど、俺が左のセンターバックで大さんは左のサイドバックでプレーしていて、大さんに「日本っぽい守備にしてや」と言ったら上手く合してくれたので、すごくやりやすいですね。

そして兄を追うようにしてフィリピン代表入りを果たした弟ビスマルク(クロアチア2部NHKヴゴヴァル1991)もタビナスにとって特別な存在だ。2022年10月に岩手県内でビスマルクは警察から酒気帯び運転の疑いで任意捜査を受け、同月31日に当時所属していたいわてグルージャ盛岡との契約解除が発表された。愛する弟について心境を吐露した。

――弟のビスマルク選手もフィリピン代表を選択されました。

俺の弟は基本的にすごく優しいんですよ。ただ飲酒運転をしてしまった。(犯罪は)駄目なことなんですけど、「これくらいいいでしょう」という詰めの甘さが出てしまった。それでも俺から見るとすごく尊敬できる男なんです。(クロアチア)2部のチームで昇格を狙える位置で、いまはばりばり試合に出ています。この夏にステップアップしていくんじゃないかと俺は思っています。

そのくらい逆境に立たされても負けない強さを持っている。ヘナヘナになりながらも、それでも食いしばって付いていける。人間的に魅力のある人間なんです。ほぼ毎日連絡していますし、そこでも愛嬌のある弟です。

俺にとってはポジションが違いますからライバルとは言い難いですけど、でも少なからず弟が試合に出て「90分無失点で抑えたよ」と連絡が来たら刺激になりますし、「俺も負けてられないな」と思います。

――青森山田高時代から存じていますけど、真面目でいい選手ですよね。

本当にそうなんですよ。真面目でいい子なんです。彼も反省していまやり直して、また新たなキャリアを歩んでいます。